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📜 引用原文(日本語訳)
久しく旅に出ていた人が遠方から無事に帰って来たならば、
親戚・友人・親友たちはかれが帰って来たのを祝う。—『ダンマパダ』第16章「愛するもの」第219偈
🔍 逐語訳
- 久しく旅に出ていた人(ciraṃ gataṃ):長く離れていた者。修行の旅、または人生の道において迷っていた者とも解釈できる。
- 遠方から無事に帰って来たならば(dūrato āgataṃ):遠い場所、または迷いや苦しみの中から戻ってきたこと。
- 親戚・友人・親友たち(ñātimittasuhajjā):近親者、友情を結んだ人々、心の支えとなる存在たち。
- 祝う(abhinandanti):喜び迎え、歓迎し、温かく受け入れること。
🧩 用語解説
- 帰還(āgama):物理的な帰宅だけでなく、「本来の自己に戻る」「正しい道に立ち返る」ことの象徴ともとれる。
- 親友(suhajja):単なる知人以上に、心の絆で結ばれた存在。仏教では「善友(kalyāṇa-mitta)」としての意味合いもある。
- 祝う(abhinandati):真心からの喜びを表現する行為。受け入れ・歓迎・賞賛を含む。
🧾 全体の現代語訳(まとめ)
長い間、離れていた者が遠方から無事に戻ってきたとき、
親戚や友人たちはその帰還を心から喜び、温かく迎える。
それは、単なる物理的な帰還にとどまらず、道に迷った人が再び本来の姿に立ち返ったことへの賞賛と歓迎でもある。
🧠 解釈と現代的意義
この偈は、「迷いや放浪からの帰還」「人生の回復」そして「本来あるべき姿への復帰」がどれほど尊く、また人々の祝福に値するかを教えています。
たとえ過ちや遠回りがあったとしても、真実と正道へと戻ることができたとき、私たちは必ず誰かの喜びと受け入れに出会うのです。
この偈は、**「戻ることに遅すぎることはない」**という、慈悲に満ちた仏教の励ましでもあります。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 解釈・適用例 |
---|---|
🔄 再挑戦・復帰 | ミスや退職・失敗を経ても、再び組織や仲間のもとに戻ってくる人には、温かい迎えと再出発の機会があるべき。 |
🤝 チーム文化 | 成果や効率だけでなく、「立ち返る力」を評価できる組織風土は、人の成長を支える。 |
🧭 リーダーシップ | 部下や仲間が一時的に誤った選択をしても、見放さず、戻ってくる道をつくるリーダーこそ信頼される。 |
💬 人間関係 | 距離や誤解があっても、誠実に戻ろうとする相手に対して、許しと祝福で応じる姿勢が人間関係を成熟させる。 |
🔑 心得まとめ
「迷いは終わり、帰還は祝福される」
人は誰しも、迷いや離脱の時期を経験することがあります。
しかし、その後に「帰ろう」と思える意志と、「おかえり」と迎える周囲の温かさがあれば、そこには新たな始まりが生まれます。
人生も仕事も、“戻ること”にこそ希望がある。
それがこの偈の教えであり、現代にも通じる再生の智慧です。
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