企業が抱える出血商品への対応策には、主に以下の4つが挙げられる:
- 生産能率を向上させて賃率を改善する
- 価格を引き上げる
- 現状を維持して状況を見極める
- 生産を中止する
これらの選択肢を適切に選び、状況に応じて柔軟に対応することが重要である。
生産能率向上のポイント
生産能率を向上させるためには、以下の条件が満たされる場合にのみ、大規模な設備投資などを検討すべきである:
- 商品寿命が少なくとも3年以上見込まれる
- 売上金額が十分に大きい
- 生産能率向上の見通しが明確である
これらの条件を満たさない場合は、大規模な投資を避け、日常の業務改善に留めるべきだ。その結果を見ながら、最終的に商品の切り捨ても視野に入れる。
価格引き上げの可能性
値上げが可能であれば、それが最適な対策となる。しかし、値上げには顧客や取引先との交渉が必要であり、成功の可能性が状況によって異なる。
値上げが困難な場合は、現状維持を選択しつつ、市場や競争環境の変化を観察する。そのうえで、適切なタイミングで商品の削減や撤退を検討する。
商品削減時の注意点
商品を切り捨てる際には、以下の要素を慎重に評価する必要がある:
- 他の商品への影響
- その商品が全体のビジネスに果たす役割
- 経営戦略全体との整合性
単に赤字だからといって切り捨てるのではなく、商品の存在意義や全体的な影響を考慮したうえで判断することが求められる。
赤字商品の真実
赤字商品が持つ価値を見極めることが重要である。たとえば、一分間あたり30円の収益を生む商品を切り捨てた場合、その収益が失われ、会社全体の赤字がむしろ拡大する可能性がある。
一般に”赤字商品”とされるものは、実際には固定費を完全にカバーできていない “収益不足商品” であることが多い。
このような商品は、正確には “疑似出血商品” と分類すべきだ。
真性出血商品の定義と対応
真性出血商品とは、売価が変動費を下回る商品を指す。例えば、以下のようなケースが該当する:
- 100円で仕入れた商品を80円で販売
- 材料費1,000円の商品を900円で販売
この場合、販売するたびに損失が拡大する。こうした商品は特別な状況下(例:在庫処分や投げ売り)を除き、通常の経営ではほとんど見られない。
疑似出血商品の扱い
疑似出血商品であっても、代替商品がない場合には安易に削減すべきではない。その商品を切り捨てることで失われる収益を他の商品で補えない場合、むしろ維持する方が有利となる。
一方で、代替商品の賃率が現在の商品の賃率を上回る場合には、切り替えを検討するべきだ。たとえば、賃率30円の商品を賃率35円の商品に置き換えれば、一分間あたりの収益を5円増加させることができる。このような計算を基に意思決定を行うことが、持続可能な経営に不可欠である。
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