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手形の割引とは?仕組みから仕訳例まで徹底解説

手形の割引(てがたのわりびき)とは、受け取った約束手形の支払期日を待たずに、金融機関に手形を譲渡して現金化する方法を指します。割引料(手数料)を差し引いた金額を即座に受け取れるため、資金繰りの改善や現金需要に対応する際に役立つ手段です。

この記事では、手形の割引の仕組み、割引料の計算方法、仕訳例、そして実務上の注意点について詳しく解説します。


1. 手形の割引とは?

手形の割引は、受け取った約束手形を金融機関に売却し、その額面金額から割引料(利息)を引いた金額を現金化する方法です。割引料は、手形の支払期日までの期間や割引率によって異なります。

割引の仕組み

  1. 受取人(手形所持人)が手形を銀行に持ち込む。
  2. 銀行が手形を買い取り、割引料を差し引いた金額を支払う。
  3. 手形の支払期日に、銀行が振出人から手形の額面金額を受け取る。

2. 手形の割引料の計算方法

割引料は以下の式で計算されます:

割引料 = 手形額面金額 × 割引率 × 割引日数 ÷ 365

  • 手形額面金額:手形に記載された金額。
  • 割引率:金融機関が設定する年利率(%)。
  • 割引日数:割引日から手形の支払期日までの日数。

計算例

  • 手形額面金額:1,000,000円
  • 割引率:4%(年利)
  • 割引日数:90日

計算:

割引料 = 1,000,000円 × 0.04 × 90 ÷ 365 ≒ 9,863円

現金受取額:

1,000,000円 - 9,863円 = 990,137円

3. 手形割引の仕訳例

ケース1:手形の割引

A社がB社から受け取った手形(額面1,000,000円、支払期日まで90日)を銀行で割引し、割引料9,863円を差し引いた990,137円を現金で受け取る場合。

A社(手形所持人)の仕訳
借方:現金     990,137円  
借方:支払手数料   9,863円  
貸方:受取手形  1,000,000円

ケース2:不渡りの場合

割引した手形が不渡りとなり、銀行が手形額面をA社に請求した場合。

A社の仕訳
借方:受取手形  1,000,000円  
貸方:現金    1,000,000円

4. 手形割引のメリットとデメリット

メリット

  1. 資金繰りの改善
  • 手形を現金化することで、支払期日を待たずに資金を確保可能。
  1. 迅速な現金化
  • 手形を売却するだけで即座に現金が得られる。
  1. 経営の柔軟性
  • 資金需要に応じた柔軟な対応が可能。

デメリット

  1. 割引料の発生
  • 割引率や割引日数によってコストがかかる。
  1. 信用リスクの残存
  • 割引後も、手形の不渡りリスクに対する責任は割引人(手形所持人)に残る。
  1. 資金繰りの依存
  • 割引を頻繁に行うと、長期的な資金繰りが不安定になる可能性がある。

5. 手形割引の注意点

1. 信用リスクの管理

  • 振出人が不渡りを起こすと、割引人(手形を売却した側)は銀行に手形額面金額を返済する必要があります。そのため、取引先の信用調査が重要です。

2. 割引率の確認

  • 割引率は金融機関ごとに異なるため、最適な条件を事前に比較検討しましょう。

3. 資金繰り計画の見直し

  • 割引に頼りすぎると、次回の資金繰りが困難になる場合があります。定期的に資金計画を見直しましょう。

6. 手形割引と他の資金調達手段の比較

手段特徴
手形割引手形を現金化する方法。割引料がかかるが迅速に資金調達が可能。
融資(借入)金融機関から借入れを行う方法。担保や信用が必要だが、長期的な資金調達が可能。
手形裏書譲渡手形を第三者に譲渡する方法。割引料は不要だが、信用リスクを伴う。
自社資金の活用手形割引をせずに自社のキャッシュフローで対応する。資金計画の厳密な管理が必要。

まとめ

手形割引は、迅速な資金調達が可能な手段ですが、割引料や信用リスクなどのコストを伴います。そのため、取引先の信用状況や資金繰りを十分に検討し、適切に活用することが重要です。

手形割引を効率的に活用しつつ、安定した資金繰りのために他の資金調達手段と組み合わせるのが理想的です。不安がある場合は、税理士や会計士などの専門家に相談することをおすすめします。

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