MENU

手形の基礎知識

商品代金や掛け代金の支払いには、現金や小切手のほかに手形が用いられます。手形は、取引の信頼性を高めるための重要なツールであり、簿記3級では主に約束手形を扱います。

目次

手形とは

手形は、ある金額を支払期日に支払うことを約束する証券(紙片)です。現金や小切手と異なり、支払期日を設定できるため、支払いを先延ばしにすることが可能です。

手形の種類

  1. 約束手形
    支払人が受取人に対して、特定の金額を支払うことを約束する証券。
    (簿記3級では約束手形を中心に学びます。)
  2. 為替手形
    支払人が第三者に対して、特定の金額を支払うよう指示する証券。(簿記3級では扱いません。)

掛け取引と手形の違い

  1. 強制力の有無
    • 掛け取引: 支払期日に支払いが遅れたとしても、法律的な制裁はありません。ただし、取引先からの信用を失うリスクがあります。
    • 手形: 支払期日が記載されており、期日に支払わない場合は不渡りとなります。不渡りが2回発生すると、銀行取引停止(倒産同然の状態)となり、社会的信用が大きく損なわれます。
  2. 支払期日
    • 掛け取引: 取引日から1~2か月後が一般的。
    • 手形: 取引日から3か月以上後に設定することも可能で、資金繰りを調整するために利用されます。

手形に関する用語

  1. 手形の振り出し
    手形に金額や支払期日を記入し、相手に渡すこと。
  2. 決済
    手形に記載された金額が支払期日に支払われること。
    決済は主に当座預金口座を通じて行われます。

手形のメリットと注意点

メリット

  1. 支払いの先延ばしが可能: 取引日から3か月以上先に支払期日を設定できるため、資金繰りが厳しい場合に有効。
  2. 信頼性の向上: 支払期日が明確で、取引の約束が明文化されている。

注意点

  1. 不渡りリスク: 支払期日に代金を用意できないと、1回目の不渡りで信用が低下し、2回目で銀行取引が停止される(倒産状態)。
  2. 管理の必要性: 取引先ごとに支払期日を把握し、資金を確保する必要がある。

手形の流れ

  1. 手形の振り出し
    A社(支払人)が手形を作成し、B社(受取人)に渡します。
  2. 手形の流通
    B社は手形をそのまま保有するか、別の取引先に譲渡する場合もあります。
  3. 決済
    支払期日にA社の当座預金口座から、手形金額が引き落とされます。

手形の具体例

例1: 手形の振り出し

取引内容:
A社がB社から商品を仕入れ、代金100円を約束手形で支払うこととした。

仕訳:

  • 借方: 仕入 100円
  • 貸方: 支払手形 100円
借方貸方
仕入100支払手形100

例2: 手形の決済

取引内容:
支払期日にA社がB社に対する手形代金100円を当座預金口座から決済した。

仕訳:

  • 借方: 支払手形 100円
  • 貸方: 当座預金 100円
借方貸方
支払手形100当座預金100

例3: 手形の受け取り

取引内容:
A社がC社に商品を販売し、代金150円を約束手形で受け取った。

仕訳:

  • 借方: 受取手形 150円
  • 貸方: 売上 150円
借方貸方
受取手形100売上100

まとめ

手形は、支払いを先延ばしにできる便利なツールである一方、厳格な支払期日管理が求められます。適切な簿記処理と期日管理を行うことで、取引の信頼性を高め、資金繰りを円滑に進めることが可能です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次