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見た目や口先だけでは、世の中を渡りきれない

孔子は、世の中で生きていくために本当に必要なものは何か、という問いに対し、こう語った。

「衛の祝鮀(しゅくたく)のように弁が立つわけでもなく、宋の朝(ちょう)のように顔立ちが美しいだけの者が、この時代をうまく生き抜くことは難しい

この言葉は、見かけの良さや口先だけの能力では通用しないという、現実的かつ本質的な教えである。

美貌や雄弁といった表面的な魅力は、人を一時的に惹きつけるかもしれない。
しかし、それだけでは困難や逆境に立ち向かう力とはならず、長く世に立つためには、内面の誠実さ・知恵・胆力が不可欠なのだ。

孔子は、弟子たちに「どう生きるか」を説いたが、それは単なる体裁の良さではなく、どんな時代でも揺るがぬ徳と実力を備えることの重要性を意味していた。


ふりがな付き原文

子(し)曰(いわ)く、祝鮀(しゅくたく)の佞(ねい)有(あ)らずして、宋朝(そうちょう)の美(び)有(あ)らば、
難(かた)いかな、今(いま)の世(よ)に免(まぬか)れんこと。


注釈

  • 祝鮀(しゅくたく):衛の大夫で、宗廟の祭祀官を務めた人物。弁舌の才に富んでいた。
  • 宋朝(そうちょう):宋国の公子。容姿端麗なことで知られた有名な美男子。
  • 佞(ねい):弁が立つこと。口がうまい、説得力があるという意味。
  • 免れんこと(まぬかれんこと):うまく立ち回って世間から難を逃れること、生き延びること。
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