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信を裏切るより、鉄火を飲む覚悟を持て


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📜 引用原文(日本語訳)

第二二章 地獄 三〇八偈
戒律をまもらず、みずから慎むことがないのに国の信徒の施しを受けるよりは、火炎のように熱した鉄丸を食うほうがましだ。
――『ダンマパダ』第二二章「地獄」三〇八偈


🔍 逐語訳

  • 戒律を守らず:仏道や倫理に背き、戒めを破ること。
  • 慎むことがない:自己制御・謙虚さ・節制のない状態。
  • 国の信徒の施しを受ける:誠実さを欠いたまま他者からの供養や支援を受けること。
  • 鉄丸(かなまり)を食う:熱した金属を飲み込むような、激しい苦しみを受けること。
  • ほうがましだ:それほどに、信頼を裏切ることは重い罪業であるという意。

🧩 用語解説

  • 戒律(シーラ):仏教の実践者が守るべき行動規範。五戒・八斎戒などがある。
  • 信徒の施し(ダーナ):在家信者が出家者や修行者に対して行う布施・供養。
  • 鉄丸(てつがん):火のように熱せられた鉄の塊。比喩として、耐え難い報いの象徴。
  • 慎み(サンヴァラ):内面の節制、心と言動の統制。聖なる生活の基礎。

🗣️ 全体現代語訳(まとめ)

戒律を破り、自分を慎むこともせずに、善意の人々から施しを受けるような者は、激熱の鉄玉を飲む苦しみを受けた方がまだマシである
これは、誠実さを欠いたまま他者の信頼や善意を食い物にすることの重大さを、強烈な比喩で警告している。


🧠 解釈と現代的意義

この偈は、「信頼を搾取すること」の罪深さを明確に断罪しています。
とくに宗教者やリーダー、公共的立場にある人々が、内面の倫理性を欠いたまま、表面だけで他人の支援や尊敬を享受することは、偽善と不誠実の極みであり、破滅的な結果を招くと説いています。

これは現代社会においても、政治・経済・宗教・教育など、影響力を持つ立場の人間にとって、極めて重い自省のメッセージです。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
経営者・指導者の倫理企業のトップがルールを守らずに社員の尊敬や報酬を受け取るのは、組織を腐らせる偽善行為。
コンプライアンス内部統制や法令遵守を怠りながら社会的な評価を受けることは、後に重い代償を伴う。
社会的信用の管理実態と内実が伴わないブランディングは、最終的に企業イメージを崩壊させるリスクがある。
感謝と責任の一致支援や資金提供を受ける立場の者は、その信に応じた誠実な行動をもって応える必要がある。

🧘 心得まとめ

「信を欺く者は、己を焼く火を口に運ぶ者である」

人の善意を裏切ることは、見えない世界で自らを焼き尽くす行為に等しい。
信頼される立場であればあるほど、自らを律し、内面と行動を一致させることが不可欠です。
そうでなければ、得られる報酬や敬意のすべてが、自らを苦しめる「灼熱の鉄」と化すのです。


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