■引用原文(日本語訳)
聖バガヴァットは告げた。
「遍在する虚空(エーテル)が、微細であるから汚されないように、
身体のいたる所に存在する自己も、汚されることがない。」
(『バガヴァッド・ギーター』第13章 第32節)
■逐語訳
あらゆる場所に満ちている虚空(空間、エーテル)は、
どれほど多くのものがその中にあっても、微細であるがゆえに汚れない。
同様に、身体のすべての場所に宿る「自己(真我)」もまた、
何が起きようとも汚されることはない。
■用語解説
用語 | 意味 |
---|---|
虚空(アーカーシャ) | 空間・エーテル。万物を包むが、それ自体は触れられず、汚れない。 |
微細(スークシュマ) | 五感で捉えられないほど繊細・精妙で、物質に影響されない性質。 |
自己(アートマン) | 身体・感情・思考の背後にある観照者としての純粋意識。 |
汚されない(ナ・リプヤテ) | 行為・現象・環境によって本質が損なわれることがない。 |
■全体の現代語訳(まとめ)
どんなに煙や塵が空に漂っても、空そのものが汚されることはないように、
身体のあらゆる部分に存在する真我(自己)も、
どれだけの経験・行為・思考に触れようとも、
その本質は決して汚れることがない。
この真我は微細であり、永遠に純粋な存在なのだ。
■解釈と現代的意義
この節は、「真の自己は何者にも影響されない」という深い精神的自由を説いています。
人は過去の失敗、誰かの言葉、環境の影響などに「自分が汚れた」と感じることがあります。
しかし、それは表面の経験であり、内奥の自己は常に空のように澄み、広く、触れられない――
この洞察があれば、どんな状況にも心は染まらず、安らぎの中に生きることができます。
■ビジネスにおける解釈と適用
視点 | 解釈と応用例 |
---|---|
自己評価の安定 | 失敗や批判によって「自分の価値が汚された」と感じることなく、本質の自己は変わらないと知ることで、心の安定を保てる。 |
修羅場における平静 | 混乱や争いの渦中でも、空のように「観る」意識を持つことで、冷静な対応ができる。 |
リーダーの在り方 | 評価や外圧に左右されず、「汚れない自分」に基づいて判断することで、公平かつ一貫性のあるリーダーシップが実現する。 |
継続的な自信と信頼 | 自分や他者を「結果」や「表面的態度」で判断せず、奥にある清らかな本質を信じることが、長期的な信頼関係を築く。 |
■心得まとめ
「空のように、在るだけで満ちている」
『バガヴァッド・ギーター』は、私たちの中の真我(アートマン)は、
空のようにあらゆるものを包み込みながら、何にも触れず、汚されることもないと教えます。
この理解は、どんな挫折や外的影響にも折れない心の芯を与えてくれます。
「何が起きても、私の本質は静かに清く在る」――
この気づきが、ビジネスでも人生でも、揺るぎない土台となるのです。
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