目次
📜 引用原文（日本語訳）
七
世間における種々の美麗なるものが欲望なのではない。
欲望は、人間の思いと欲情なのである。
世間における種々の美麗なるものはそのままいつも存続している。
しかし思慮ある人々は、それらに対する欲望を制してみちびくのである。
📖 逐語訳（意訳含む）
- 美しい物そのものが欲望なのではない。
- 本当の欲望とは、それを見て「欲しい」と思う人間の心の動き（思い・情動）にある。
- 美麗なものは世界に常に存在し続けている。
- しかし賢い人は、それらをそのままに見て、心が振り回されないように導く。
🧩 用語解説
- 美麗なるもの：外界に存在する自然や芸術、容姿や物質的な魅力を備えた対象。
- 欲望：対象に対して「所有したい」「独占したい」と思う感情。
- 思いと欲情：理性的判断ではなく、感情に基づいた内発的な欲求。
- 制してみちびく：抑圧するのではなく、正しく認識し、冷静に対応する姿勢。
🪞 全体の現代語訳（まとめ）
美しいもの自体が人を惑わすのではない。それを見て「欲しい」「自分のものにしたい」と思う心が、欲望となる。世界は美に満ちているが、思慮ある人はその美に心を乱されることなく、静かに、冷静に受け止める。そうすることで、真に自由な心を保つことができる。
🧠 解釈と現代的意義
この章句は、「欲望は外にあるのではなく、内にある」という仏教の核心的な視点を明らかにしています。SNS、広告、ライフスタイル提案など、現代は「美しさ」や「羨望」を刺激するものに満ちていますが、それに振り回されるかどうかは“心”次第。美を否定する必要はなく、それに執着しない目を養うことが、現代人にとっての知恵といえるでしょう。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
| 観点 | 応用例 |
|---|---|
| マーケティング理解 | 顧客の欲望は商品自体ではなく「どう思うか」にある。訴求すべきは外形ではなく内面への影響。 |
| 消費行動の自覚 | 商品・サービスに振り回されず、「それが本当に必要か」を内省する態度が、健全な購買を支える。 |
| 美的価値の活用 | 美を否定せずに、過度な執着を持たず、美を通して心を整える。例えば美しいデザインは集中力や創造力を高めうる。 |
| 評価や名誉への冷静な距離 | 自分への賞賛や高評価も、それ自体に酔うのではなく、冷静に受け止めることが真のプロフェッショナリズム。 |
🧭 心得まとめ（座右の銘風）
「欲は外にあらず、心にある。」
世界は変わらない。
変わるべきは、世界を見る私たちの“目”と“心”である。
美を否定せず、美にとらわれずにある人こそ、真に自由である。
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