MENU

勝ってもよし、倒れてもよし――決意して立ち向かえ


目次

■原文(日本語訳)

第2章 第37節
クリシュナは言った。
「あなたは殺されれば天界を得、勝利すれば地上を享受するであろう。
それ故、アルジュナ、立ち上れ。戦う決意をして。」


■逐語訳

  • 殺されれば(ハトヴァー):もし戦いで命を落としたならば。
  • 天界を得(スワルガム・アーヴァプスィ):徳により神々の世界(天界)に至る。
  • 勝てば(ジットヴァー):戦いに勝利すれば。
  • 地上を享受する(マヒーム・ボークシャセ):王国・繁栄・地上の幸福を味わう。
  • 立ち上れ(タスマート・ウッティシュタ):だからこそ、立ち上がれ。
  • 戦う決意をして(ユッタヤ・クリタ・ニシュチャヤハ):揺るぎない決意を持って戦え。

■用語解説

  • スワルガ(天界):義務を果たした者が死後に至る、至福の世界。
  • マヒー(地):この世の王国、名声、栄誉ある支配。
  • ニシュチャヤ(決意):揺るがぬ意志、覚悟、明確な目標意識。
  • ユッタ(戦い):ここでは物理的な戦争だけでなく、「人生の義務との闘い」を象徴する。

■全体の現代語訳(まとめ)

クリシュナは、アルジュナにこう力強く告げます。
「もし戦いで倒れても、義務を果たした者として天界に至る。
もし勝利すれば、地上において富と名声を手にする。
どちらに転んでも、損などはないのだ。だから、迷わず立ち上がり、戦え。」

この節は、**「義務を果たす者に敗北はない」**という、ギーターの根本的な思想を表しています。


■解釈と現代的意義

この章句は、「義務に立ち向かう勇気は、いかなる結果でも意味がある」と教えています。
勝利すれば世俗的な成功を得、敗れても精神的な報いがある――
すなわち、決意を持って行動する者は、結果に左右されず、常に価値ある道を歩むというメッセージです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈と応用例
意思決定と行動成果が出なくても、挑戦自体が意味を持つ。行動しないことよりも、動いた上での結果にこそ価値がある。
キャリアの選択新たな役割や困難なプロジェクトに挑むことは、たとえ失敗しても成長と信頼の獲得につながる。
リスクとの向き合い方損得よりも「やるべきこと」かどうかで判断する。その覚悟が信頼と実績を生み、勝っても負けても価値を残す。
モチベーションの源泉成功・失敗に一喜一憂するよりも、「今、自分がやるべきかどうか」に立脚した行動が、長期的な自信と成果につながる。

■心得まとめ

「義務を果たす者に、敗北はない」
結果ではなく、覚悟と行動が報われる。
倒れても天に昇り、勝てば地に栄える。

ならば、恐れず決意し、いま立ち上がれ。
それが、ギーターの語る「正しい道」の在り方です。


次の第38節では、さらに一歩踏み込み、「成功・失敗への執着を超えること」がヨーガの道として説かれます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次