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■原文(第11章 第34節)
「ドローナ、ビーシュマ、ジャヤッドラタ、カルナ、
およびその他の勇士たちは、私によってすでに殺されている。
それゆえ、あなたは彼らを殺しなさい。
戦慄くな。戦え。
戦いの中であなたは敵に打ち勝つであろう。」
■逐語訳(一文ずつ訳す)
- ドローナ、ビーシュマ、ジャヤッドラタ、カルナ、その他の戦士たちは
(droṇaṁ cha bhīṣhmaṁ cha jayadrathaṁ cha karṇaṁ tathānyān api yodhavīrān) - 私によってすでに殺されている。
(mayā hatāns tvaṁ jahi mā vyathiṣhṭhāḥ) - それゆえ、あなたは彼らを殺しなさい。恐れてはならない。
(jahi mā vyathiṣhṭhāḥ yudhyasva jetāsi raṇe sapatnān) - 戦いにおいて、あなたは敵に勝利するであろう。
(yudhyasva jetāsi)
■用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
ドローナ | クル族の軍師。アルジュナの師でもある。高徳な武人。 |
ビーシュマ | クル家最強の戦士。不死の誓いを持ち、威厳と誓約の象徴。 |
ジャヤッドラタ | カウラヴァ側の王族で、ドラウパディーの侮辱に関わった者のひとり。 |
カルナ | 太陽神の子であり、ダルマの化身ともされる。アルジュナと宿命的に対立する存在。 |
mā vyathiṣhṭhāḥ | 「恐れるな」「不安になるな」の意。 |
jetāsi | 「勝利するであろう」「勝者となる」 |
■全体の現代語訳(まとめ)
ドローナ、ビーシュマ、ジャヤッドラタ、カルナ、そして他の戦士たちは、
すでに私によって滅ぼされている。
だからあなたは、彼らを討てばよい。恐れるな。
戦いなさい。あなたはこの戦いに勝利するであろう。
■解釈と現代的意義
この節は、**「決定された運命の中で、行為者としての役割を果たせ」**という教えです。神の観点から見れば、結果はすでに決まっている。
しかし、それを現実の世界で成し遂げるのは、人間の行動――まさにアルジュナの剣です。
- 成果は「定まっているもの」であり、人はただそこに向かって最善を尽くすのみ。
- 恐れは不要であり、今なすべきことに専心せよという鼓舞。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
起業・事業判断 | 「成功するかもしれない道」ではなく、「自らの使命がある道」を選び、迷わず動け。 |
チームリーダーの覚悟 | 困難な決断でも、長期的成果が見えているならば断行せよ。 |
経営者の勇気 | 戦略が正しいと信じるなら、反発や不安に屈せずに行動し、組織を導く。 |
■心得まとめ
「運命はすでに用意されている。汝はそれを貫け」
すでに戦士たちは神の手によって滅ぼされている。
つまり、結果は定まっている。
しかし、その結果を地上において現実化するには、
あなたの剣が必要なのだ。
恐れるな。迷うな。逃げるな。
汝は勝利する。
汝の行為に、神の意志が宿っているのだから。
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