前払金と前受金は、商品代金の一部を内金や手付金として先払いまたは先受けする場合に使用される勘定科目です。
目次
前払金とは
定義
商品の注文時に内金や手付金を支払った場合、その金額分だけ商品を受け取る権利が発生します。この権利を管理するために前払金(資産)として処理します。
前払金の処理例
1. 内金や手付金を支払ったとき
仕訳:
- 借方: 前払金(資産の増加)
- 貸方: 現金または当座預金(資産の減少)
例:
A社がB社に商品100円を注文し、内金として20円を現金で支払った。
- 借方: 前払金 20円
- 貸方: 現金 20円
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
前払金 | 20 | 現金 | 20 |
2. 商品を受け取ったとき
商品の受け取りによって前払金の権利がなくなるため、前払金(資産)を減少させます。同時に仕入(費用)を計上します。
仕訳:
- 借方: 仕入(費用の増加)
- 貸方: 前払金(資産の減少)
- 貸方: 買掛金または現金(支払い残額)
例:
A社がB社より商品100円を仕入れ、内金20円と相殺し、残額80円を掛けとした。
- 借方: 仕入 100円
- 貸方: 前払金 20円
- 貸方: 買掛金 80円
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
仕入 | 100 | 前払金 | 20 |
買掛金 | 80 |
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前受金とは
定義
商品の注文時に内金や手付金を受け取った場合、その金額分だけ商品を引き渡す義務が発生します。この義務を管理するために前受金(負債)として処理します。
前受金の処理例
1. 内金や手付金を受け取ったとき
仕訳:
- 借方: 現金または当座預金(資産の増加)
- 貸方: 前受金(負債の増加)
例:
B社がA社より商品100円の注文を受け、内金として20円を現金で受け取った。
- 借方: 現金 20円
- 貸方: 前受金 20円
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
現金 | 20 | 前受金 | 20 |
2. 商品を引き渡したとき
商品の引き渡しによって前受金の義務がなくなるため、前受金(負債)を減少させます。同時に売上(収益)を計上します。
仕訳:
- 借方: 前受金(負債の減少)
- 貸方: 売上(収益の増加)
- 貸方: 売掛金または現金(受け取り残額)
例:
B社がA社に商品100円を販売し、内金20円と相殺し、残額80円を掛けとした。
- 借方: 前受金 20円
- 借方: 売掛金 80円
- 貸方: 売上 100円
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
前受金 | 20 | 売上 | 100 |
売掛金 | 80 |
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ポイント
- 前払金(資産)
- 商品を注文時に支払った内金や手付金を管理するための勘定科目。
- 商品を受け取った時点で仕入(費用)として処理される。
- 前受金(負債)
- 商品を注文時に受け取った内金や手付金を管理するための勘定科目。
- 商品を引き渡した時点で売上(収益)として処理される。
- 仕訳のタイミング
- 前払金や前受金は、商品を受け取る・引き渡す前の段階で発生し、商品の受け渡しが完了した時点で清算される。
まとめ
前払金と前受金は、商品の代金の一部を先に支払う・受け取る取引に伴う権利や義務を管理するために使用されます。適切な仕訳処理を行うことで、取引の実態を正確に記録し、財務状況を明確に示すことができます。
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