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真の人格者は、外は柔らかく、内に燃える火を持つ

孔子の人柄は、一見して温和で親しみやすく、誰に対しても穏やかで柔らかい
しかしその内側には、強い信念と情熱、そして揺るがぬ厳しさがあった。
また、威厳はあるが恐怖を与えるような激しさはなく、謙虚で礼儀正しいが、堅苦しさはない
このバランスこそ、**真に人を惹きつける「君子のあり方」**であり、孔子が自ら体現していた人物像である。
“剛を内に、柔を外に”――それは、徳を備えた人の自然な姿である。


原文・ふりがな付き引用

子(し)、温(おん)やかにして厲(はげ)しく、威(い)ありて猛(たけ)からず、恭(きょう)にして安(やす)し。


注釈

  • 温やかにして厲しく … 外見は柔らかく穏やかであるが、内面には情熱と厳しさを秘めている。
  • 威ありて猛からず … 威厳はあるが、粗暴さや威圧感はない。
  • 恭にして安し … 謙虚で礼儀正しく、それでいて周囲を緊張させず、安心感を与える態度。

1. 原文

子溫而厲、威而不猛、恭而安。


2. 書き下し文

子(し)、温(おん)やかにして厲(きび)しく、威(い)ありて猛(たけ)からず、恭(うやうや)しくして安(やす)し。


3. 現代語訳(逐語/一文ずつ訳)

  • 「温やかにして厲しく」
     → 孔子は柔らかく穏やかでありながら、節度と厳しさも兼ね備えていた。
  • 「威ありて猛からず」
     → 威厳はあるが、怒りや暴力で威圧するようなことはなかった。
  • 「恭にして安し」
     → 謙虚で丁寧な態度を持ちつつも、相手に安心感を与える存在であった。

4. 用語解説

  • 温(おん)やか:穏やかで親しみのある性格。包容力のある人柄。
  • 厲(きび)しき:規律を守らせる厳格さ。人としての芯の強さ。
  • 威(い):自然と人を従わせる威厳・尊敬される力。
  • 猛(たけ)し:猛々しさ。感情的・暴力的な振る舞い。
  • 恭(うやうや)しき:礼儀正しく、敬意をもって接する姿勢。
  • 安(やす)し:周囲に安心感や落ち着きを与える雰囲気。

5. 全体の現代語訳(まとめ)

孔子は、穏やかで親しみやすい人柄でありながら、節度と厳しさを持ち合わせていた。
威厳はあったが、怒ったり乱暴になったりすることはなく、
礼儀正しい態度の中にも、相手を安心させるような落ち着いた存在であった。


6. 解釈と現代的意義

この章句は、孔子という人物の理想的な人格バランスを非常に簡潔に表しています。

  • 温かさと厳しさ:優しいだけでなく、必要なときには厳しく導ける存在。
  • 威厳と穏やかさ:無理に威圧せずとも、内面の徳により自然に人を惹きつける
  • 謙虚さと安心感:上下を問わず敬意を持って接しつつ、周囲をリラックスさせる力量。

これはまさに、**「理想のリーダー像」**ともいえる人物像です。


7. ビジネスにおける解釈と適用

■「優しさの中に、芯のある厳しさを」

──ただ優しいだけでは信頼されない。筋の通った厳しさがリーダーには必要。

■「威厳は、怒声ではなく行動から生まれる」

──リーダーの言葉や態度は、感情よりも品格と一貫性で信頼を得るべき

■「礼儀は形式ではなく、相手に“安心”を与える力」

──丁寧な応対と敬意ある態度が、人間関係の信頼基盤をつくる

■「人が集まるリーダーは、厳しさと温かさを両立している」

──チームメンバーは、安心して学び、緊張感をもって成長できる環境を望んでいる。


8. ビジネス用心得タイトル

「温かく、厳しく、堂々と──“安心と尊敬”を両立させる人物力」


この章句は、リーダーの人格形成、マネジメントスタイル、人材育成の核をなす価値観として、現代にも直結する内容です。

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