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実務と学びは車の両輪。余力あるときに互いを磨け

子夏は、「仕えること(=実務)」と「学ぶこと(=知識や教養の習得)」のバランスについて語った。
仕事に励み、十分に責務を果たせるようになったら、余力をもって学ぶべきであり、
学問に精進し、力がついたならば、社会のために働くべきである
と。

これは、単に「勉強してから働け」とも「働きながら学べ」とも言っていない。
両者のどちらが上ではなく、どちらも人としての成長に欠かせない要素であり、
状況や段階に応じて行き来すべきものだ
という教えである。


原文と読み下し

子夏曰(い)わく、仕(つか)えて優(ゆう)なれば則(すなわ)ち学(まな)び、学びて優なれば則ち仕(つか)う。


意味と注釈

  • 仕えて優なれば
     職務に就き、日々の仕事に十分対応できるようになり、心にも時間にも余裕が生まれたとき
  • 則ち学ぶ
     その余力を学問に充て、さらに内面を高める。仕事の中で学ぶだけでなく、意識的に学問に向かう態度
  • 学びて優なれば則ち仕う
     学問を重ね、知識と人格が整ったら、その力を実社会に活かして働く。理論を実践に移す段階。
  • 優(ゆう)
     余裕、余力。身体的・精神的に「余地がある状態」を指し、質・量ともに満ち足りた様子を含む。

パーマリンク(英語スラッグ)

balance-work-and-learning

他の候補:

  • study-and-serve
  • learn-when-free-work-when-ready
  • duty-and-study-in-harmony

この章句は、実務と学問を相互に補完しながら高め合う生き方を説いたものであり、
現代においても、キャリアと学びをどう両立させるかという課題に深く通じています。

1. 原文

子夏曰、仕而優則學、學而優則仕。


2. 書き下し文

子夏(しか)曰(いわ)く、仕(つか)えて優(ゆう)なれば則(すなわ)ち学(まな)び、学びて優なれば則ち仕(つか)う。


3. 現代語訳(逐語/一文ずつ訳)

  • 子夏曰く、仕えて優なれば則ち学び…
     → 子夏は言った。「官職に就いて余裕があれば、学ぶべきであり、」
  • 学びて優なれば則ち仕う。
     → 学問に励み、その成果に余裕があれば、社会に出て仕えるべきである。」

4. 用語解説

  • 子夏(しか):孔子の高弟で、実務と学問の両立を重んじる人物。
  • 仕(つか)う:官に仕える、公務に従事する、社会に奉仕すること。
  • 学(まな)ぶ:学問を修め、徳を養う行為。儒教では人格形成に不可欠。
  • 優(ゆう)なり:余裕がある、能力や時間にゆとりがある状態。

5. 全体の現代語訳(まとめ)

子夏はこう言った:
「公務に就いていても余裕があれば学問に励むべきであり、
学問に励んで余裕があれば、社会に出て人々のために尽くすべきである。」


6. 解釈と現代的意義

この章句は、「学問と実務の往還」、すなわち理論と実践のバランスを説いています。

  • 「仕→学」「学→仕」という双方向の循環的な成長モデルを示している。
  • 一方に偏ることなく、学びと社会貢献を往復しながら高め合う姿が「君子」の理想。
  • また「優なれば」とあることから、「無理に」ではなく「余裕ある状態で取り組むこと」が推奨されている点も重要です。

7. ビジネスにおける解釈と適用

✅「忙しくても“余裕を見つけて学ぶ”人が成長する」

仕事の合間に学びの時間を確保し、実務から学問へとつなげる姿勢が、継続的成長の源になる。

✅「学んだら、それを社会で活かす責任がある」

得た知識やスキルを、現場や社会に還元し、役立てることが“学びの完成”。
「勉強のための勉強」に陥らず、アウトプット志向を持つ。

✅「学びと実務の“行ったり来たり”が人を育てる」

実務経験があるからこそ学問が深まり、学問を経たからこそ実務が洗練される。この往還が、人材の成熟を導く。


8. ビジネス用の心得タイトル

「余裕ある者、学びを怠るな──知と行を往復してこそ、真の成長」
– 働きながら学び、学んだら働きに活かす。この往還こそが、実力と信頼を育む道である。


この章句は、「学び」と「仕事」の両立を肯定的に捉え、「バランスの取れた自己成長」を提唱しています。
現代のキャリア形成・自己啓発・ライフロングラーニングにも直結する普遍的な原則です。

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