目次
■引用原文(日本語訳)
「というのは、私は不死不変のブラフマンの基底であり、永遠の教法の、また絶対の幸福の基底であるから。」
(第14章 第27節)
■逐語訳
「なぜなら、
私は〔不滅なる〕ブラフマンの根底であり、
永遠なるダルマ(教え/秩序)の根底であり、
また、**究極の至福(アーナンダ)**の根底でもあるからである。」
■用語解説
- 不死不変のブラフマン(amṛta avyaya brahma):宇宙の根源的実在。死を超え、変化せず、永遠なる存在。
- 基底(pratiṣṭhā):支えとなるもの。存在・原理・秩序が成り立つ土台。
- 永遠の教法(śāśvata dharma):永続する正しい法(ダルマ)。時代や立場を越えて通じる真理や倫理。
- 絶対の幸福(śāntim):心が完全に安らぎ、揺るぎなく、満ち足りている状態。
■全体の現代語訳(まとめ)
クリシュナ(神)は、こう宣言します:
「私こそが、
すべての根源であるブラフマンの土台であり、
変わらぬ真理=ダルマの支えであり、
あらゆる探求の終着点である**至高の幸福(静寂)**の根本である。」
つまり、信愛によって私に至る者は、あらゆる根源に触れることになるのだと。
■解釈と現代的意義
この節は、**「なぜ信愛の道が最も完全な解放へ導くのか」**という理由を明かしています。
人は多くのものを頼りにしようとします――
- 地位・実績・財産・人間関係・知識・宗教…
しかし、それらは時として失われたり、変わったり、期待を裏切ったりします。
真に揺るぎないもの、それが 「不死・永遠・至福」という普遍の基盤(=神の本質)」 であるというのが本節の核心です。
この節は、どんなに困難な中にいても、人は根源に立ち返れば揺るがないという希望を与えてくれます。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
変化や不安の中の「不動の軸」 | 環境・業績・立場が変わっても、「自分が何のために働くか」という信念を持っていればブレない。 |
真に持続可能な判断基準 | 法令や上司の意向以上に、「人として正しいか」「社会にとって有益か」という普遍の基準を持って判断する。 |
静寂と充実をもたらすリーダーシップ | 部下や仲間の揺れ動く心に対して、静かで力強い在り方を示すリーダーは、最も信頼される存在となる。 |
個人の心の平安と回復力 | 結果や評価に囚われることなく、内なる満足をよりどころとすることで、長く安定したパフォーマンスが可能になる。 |
■心得まとめ
「すべてが変わる中で、変わらぬ真理を支えとせよ」
不死なるブラフマン、永遠なるダルマ、そして静かな至福――
これらを支えているのは「私」(クリシュナ)である。
だからこそ、そこに結びつく道(信愛のヨーガ)を歩む者は、
人生のすべての変化を超えて、揺るぎなき静寂と安定に至ることができるのです。
コメント