目次
📜引用原文(日本語訳)
一五*
風が吹いても岩山が動揺しないように、修行僧は、貪ぼりが滅びてなくなるから、岩山のようにゆるがない。
― 『ダンマパダ』 第二章 第十五偈
🔍逐語訳(文ごとの意訳)
- 風が吹いても岩山が動揺しないように:自然界の猛威にもびくともしない岩山のように、
- 修行僧は:精神修養を積んだ者は、
- 貪ぼりが滅びてなくなるから:欲望、特に所有や快楽への執着を完全に捨て去っているため、
- 岩山のようにゆるがない:心は何ものにも引きずられず、不動の静寂を保つ。
📚用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
貪(とん)/むさぼり | 仏教の三毒(貪・瞋・痴)の一つ。金銭、地位、快楽などへの過剰な執着や欲望。 |
岩山 | 安定・堅固・不動を象徴する存在。心の完成を示すたとえ。 |
ゆるがない | 外的な誘惑や変化に左右されない、確かな精神的安定。 |
🪞全体の現代語訳(まとめ)
どんなに強い風が吹いても岩山が揺れないように、
貪り(欲望)を完全に断ち切った修行僧の心は、
何を見ても、何を聞いても、欲しがらず、動じない。
それは、静かにして深く、揺るがぬ精神の証である。
🧠解釈と現代的意義
この偈は、「欲望(むさぼり)を断ち切ることで、心は自由になり、不動の境地に至る」という教えです。
現代人の多くは、物・金・快楽・承認などへの欲望に突き動かされて生きています。
しかし、それらの欲望は際限がなく、手に入れても心は満たされず、常に「もっと、もっと」と求めて揺れ動く原因になります。
それに対し、この偈が説くのは、**「欲する心そのものを滅すれば、もはや揺らぐことがない」**という逆転の発想です。
💼ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 応用例 |
---|---|
無欲のリーダーシップ | 利益や肩書に執着せず、組織や社会のために淡々と行動できるリーダーは信頼され、長く支持される。 |
過剰な目標への依存からの脱却 | 結果や報酬への執着を手放すことで、健全で持続的な仕事への集中が可能になる。 |
冷静な意思決定 | 欲望に基づかない判断は、より中立的で客観的。組織における重要判断でぶれない軸となる。 |
ブランディングとマーケティング | 顧客の「貪り」を刺激するのではなく、「満ち足りた選択」を支援する姿勢が、長期的信頼を築く。 |
✅心得まとめ
「求めなければ、心は揺れない。欲なき者に、真の自由がある」
欲望に突き動かされる限り、心はいつも波立っている。
だが、むさぼりを超えたとき、心は岩のように静かに座す。
それは何も求めず、何にも囚われない、最も強く、最も豊かな生き方である。
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