目次
📖引用原文(日本語訳)
一四*
不動の真理は見難い。
見易いものの真相を洞察して、
妄執の消滅を見る人にとっては、
苦しみが終滅すると説かれる。
🔍逐語解釈と用語の意味
表現 | 解釈 |
---|---|
不動の真理(ダンマ) | 常に変わらず、あらゆる現象の背後にある普遍的な法(真理)。仏教における究極の法則。 |
見難い | 目に見える現象や概念に惑わされ、深層の真理には気づきにくい。 |
見易いものの真相を洞察する | 日常的に目にしている現象(喜怒哀楽・成功失敗など)の背後にある因果・無常を見極める智慧。 |
妄執の消滅(アヴィッジャーの滅) | 「自分」「所有」「固定された見解」への執着を断つこと。 |
苦しみの終滅(ドゥッカ・ニローダ) | 煩悩が尽き、悟り(ニルヴァーナ)に至った状態。仏教の「四聖諦」の最終地点。 |
🧘♂️全体の現代語訳(まとめ)
この世の根本にある「変わらぬ真理」は、
感情や現象に惑わされる人には、見えにくいものである。
だが、ふだん目にしている“見えやすいもの”の裏にある因果や無常、
そして「自分」という妄執の空しさを見抜いた者は、
やがてすべての苦しみから解き放たれると説かれている。
💡解釈と現代的意義
この句は、「真理を見ること」と「苦しみから自由になること」が一体であることを示しています。
- 真理とは、“どこか高尚な場所”にあるものではなく、
- 日常のすぐそば=「見易いもの」の中に潜んでいる。
しかし私たちは、表面の出来事(怒られた・失敗した・褒められた・得した)に囚われ、
その裏にある「因」「縁」「無常」「非我」という根本の構造を見ようとしません。
この句は言います:
「その“普通の現象”の真相を洞察せよ。それこそが、妄執を捨てる鍵だ」と。
💼ビジネスにおける適用
観点 | 適用内容 |
---|---|
本質を見抜く思考法 | 数字・KPI・外見上の成果にとらわれず、「なぜこうなっているのか」「どんな構造があるのか」を洞察する力が重要。 |
エゴを手放す判断力 | 「私の案」「私の実績」といった妄執を離れ、組織や目的の本質に照らした選択を取ると、自然と衝突や疲弊が減る。 |
現象と感情を切り分ける | トラブルや批判に対して、反射的に反応せず「背後の原因」に目を向けると、感情に振り回されず建設的に動ける。 |
学びの視座 | 日常業務の中にこそ、真理の種がある。「あたりまえ」を掘り下げることで、深い理解と創造が生まれる。 |
✅心得まとめ
「真理は、すぐそばにある。だが、よく見なければ見えない」
見えるものの裏に、「見えない真理」が隠れている。
それを見抜く者だけが、妄執という鎖を断ち切り、苦しみを超えていく。
心が静まり、感情の波が引いたとき、
目の前にあった「何でもないこと」が、真理の入口となる――
この句は、そんな静かな目覚めへと私たちを導いてくれます。
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