implex1023– Author –
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食は心を満たさず、ただ身体を養う
■原文(一七) この(体)は、食べなければ生きてゆくことができない。食物は心胸を静かならしめるものではない。食物は身体を存続させるためのものである。そのことを知って、托鉢の行をおこなえ。 ■逐語訳 この(体)は、食べなければ生きてゆけない:肉... -
尊敬に酔うな、名声の影に危機がある
■原文(一六) (修行僧に対してなされる世の人々の)尊敬のうちには、このわざわいと大きな危険のあることを知って、修行僧は、人々に知られること少なく、無欲で、気をつけて、遍歴せよ。 ■逐語訳 尊敬のうちにはわざわいと危険がある:人々の称賛や敬意... -
快適さに執着すれば、孤立と対立を招く
■原文(一五) つねに重衣をまとっているが、飲食物と衣服と寝具と坐具を得る人は、多くの敵をつくる。 ■逐語訳 つねに重衣をまとっている:常に厚着をしている者。ここでは物質的に満たされている・恵まれた者の象徴。 飲食物と衣服と寝具と坐具を得る人... -
富は尊敬を買うが、徳を証明しない
■原文(一四) ところで、この世で食物や飲料を(多く)所有している人は、たとい悪いことを行なっていても、かれは(愚かな)人々から尊敬される。 ■逐語訳 この世で:現世・社会一般・世俗社会において。 食物や飲料を多く所有している人:豊かな物質的... -
真の偉大さは、知られずとも輝く
■原文(一三) たといその修行僧が三種の明知を体現していて、死を打ちのめした者であり、汚れが無いとしても、無智なるものどもは、「かれは人に知られていることが少ない」といって、かれを見下す。 ■逐語訳 三種の明知:仏教における「三明」(さんみょ... -
知より行に徳が宿る――誠実な実践者こそ称えられる
■原文(一二) たとい知慧は乏しくても、修行僧が戒しめを守ってよく心が安定するに至ったならば、怠ることなく清く生きるその人を、ことわりを知る賢者たちが称讃する。 ■逐語訳 たとい知慧は乏しくても:たとえ知識や理屈に乏しく、聡明とは言えなくても... -
共に得たものを軽んずるな――感謝こそが心の豊かさを育てる
■原文(一一) もしも楽しく生きようと欲するならば、修行者のつとめに注視して、教団の所有である衣や飲食物を軽んじてはならない。 ■逐語訳 楽しく生きようと欲するならば:真の平安と喜びに満ちた人生を望むなら。 修行者のつとめに注視して:日々の自... -
満ち足りた心で、真理一つを見つめよ
■原文(一〇) もしも楽しく生きようと欲するならば、修行者のつとめに注視して、互いに満足せよ。唯一つの真理(=ブッダの教え)を念じて修行せよ。 ■逐語訳 楽しく生きようと欲するならば:精神的な平安と充足に満ちた人生を望むなら。 修行者のつとめ... -
楽しみは、静けさと慎みの中にある
■原文(九) もしも楽しく生きようと欲するならば、修行者のつとめに注視して、蛇が鼠の隠れている穴に近づくように、臥処(がしょ)をさがして実践せよ。 ■逐語訳 楽しく生きようと欲するならば:心安らかに、満ち足りて生きたいと願うなら。 修行者のつ... -
足るを知り、他と比べぬ者は、心安らかなり
■原文(八) (托鉢によって)自分の得たものを軽んじてはならない。他人の得たものを羨むな。他人を羨む修行僧は、心の統一安定を得ることができない。 ■逐語訳 自分の得たものを軽んじてはならない:自分の努力や運命によって得られた成果を価値ないもの...