implex1023– Author –
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社長の乗用車
業績が低迷し、むしろ悪化の一途をたどっている従業員約200人の会社がある。社長は外国車で通勤し、応接室は立派なものが二つ備わっている。最近では電話交換機を導入し、専属の交換手を二名配置、さらに守衛所を建設して守衛も二名雇い入れたという。そし... -
海の家
次に取り上げるのは、従業員約600人の中堅企業だ。実質的には赤字経営の状態であり、土地を売却して得た利益で収益を補填し、配当を実施している。この状況では、もはや製造業としての本質を失い、不動産業に近い存在といえる。 財務分析を進めた結果、全... -
大邸宅
赤字経営の会社が一つある。その会社は立派な邸宅を所有している。その価値は現在、三千万円を超えると言われている。数年前、業績が好調だった頃に購入したものらしい。 赤字経営のため資金繰りに苦しんでいる。その状況を受けて、社長は大邸宅を担保に銀... -
あちらでもこちらでも
一倉が極端な例ばかり持ち出していると思う読者もいるだろう。確かに、問題の性質や本質を浮き彫りにするためにあえて極端な例を取り上げたのは事実だ。しかし、それは決して特別なケースではなく、わずかな程度の違いにすぎない。 自分の限られた経験の中... -
経営者の自重を
多くの企業では、過剰な固定資産投資というよりも浪費とも言える行為が横行している。一体これは何が原因なのか。何かが根本的に狂っているとしか思えない状況だ。 企業の使命は経済的価値を創出することに他ならない。であるならば、経営者の下すすべての... -
扶養家族
赤字に苦しむT製作所は、約150名の規模を持ちながら、営業部門には部長と呼ばれる担当者が一人いるだけという、極端に営業を軽視した企業だ。 社長自身は営業を軽視しているつもりはなく、自社の技術力だけで経営を成り立たせられると考えていた。しかし、... -
日報の山
S工業の従業員数は約500名。調査のために訪問し、社長室で社長の話を聞いた。机の中央には、同じ形式の書類が約20センチの高さに積み重ねられていた。 見るとそれは日報で、なんと22冊もあった。思わず驚かされた。社長がこんな無駄とも思える書類をいちい... -
読まれない報告書
ある会社では、二年前に会計機を導入した。それ以来、毎日試算表が作成されている。女子事務員が手慣れた様子で数字を打ち込み、出来上がった試算表をそのままファイルに収めているのを見て、どうやら誰もその内容を確認していないらしいと感じた。そこで... -
防衛兵器
R社で工程管理の改善に取り組んだ際の話だ。そこは典型的な受注一品生産の現場で、季節による需要の変動が大きい上に、短納期対応が求められ、さらに突発的な案件も頻繁に発生するという厄介な状況だった。 混乱の原因は、無計画な受注にあった。このため... -
常識でムダを省け
会社内では、過剰な無駄な活動が横行している。ここで挙げた例は、そのほんの一部に過ぎない。しかし、実際に取り組んでいる本人たちはいたって真剣であり、「記録を取る」という行為をしない者は近代化への意欲が低いと見なされてしまう。 言い換えれば、...