implex1023– Author –
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捨て去ればいいのではない
A社は特定製品の専門メーカーとして国内市場で高い占有率を誇っている。国内シェアが90%以上に達しているため、輸出にも積極的に取り組んできた。しかし、輸出量の増加に伴い、輸出のメリットに対する疑問が浮上している。輸出価格が低く抑えられており、... -
値下がりを数で補ってよいか
B社から「業績が思うように上がらないので診断をお願いしたい」という相談があった。製品を分析した結果、損益分岐点を大きく下回る製品が売上全体の20%以上を占めていることが判明。この製品が業績の足を引っ張る「お荷物」となっている。 事情を尋ねると... -
得意先の政策変更で赤字転落
M重工の専属下請工場として、同じ地域内に規模のほぼ同じネジ工場が二つ存在する。S精螺とT製作所だ。設備や技術面においても、両者はほとんど差がない。 昭和三十九年の不況時、この双子のように似通った二つの会社の運命は大きく分かれた。S精螺は業... -
警報器の使用制限が
N社は警報器の専門メーカーであり、空気式ラッパの時代から続く老舗だ。優れた技術力を有し、多くの優秀な人材を抱えている。 戦後、自動車産業の成長に歩調を合わせるように、N社も発展を遂げてきた。しかし、度重なる値下げが続く中で、収益性は徐々に低... -
市場における危険分散を図れ
企業は収益性の高い製品に注力する必要があると繰り返し主張してきた。しかし、現時点での製品の収益性だけに執着するのは危険だ。いつ、どのような変化が訪れ、それが自社にどれほどの大きな影響を及ぼすか予測できないからだ。 前に挙げた二つの実例が、... -
同種技術による異種業界の製品を
S工業は、プレスや板金の技術を活かして特定の自動車メーカーの下請け業務を行ってきた。しかし、いつまでも下請けの立場に甘んじるわけにはいかないという思いから、自社製品の開発を目指すことになった。そこで選ばれたのは、自動車業界全体ではなく、親... -
占有率を忘れるな
静岡県清水市には、スター精密株式会社という企業がある。この会社は精密ネジと小型自動旋盤を主力製品とする優れたメーカーだ。会社の営業案内によれば、従業員数は約450人、月商は8000万円に達している。その主要製品が占める市場シェアは以下の通りだ。... -
限界生産者である得意先は爆薬に等しい
「うちには自社製品がないから占有率なんて気にする必要はない」と悠長に構えている場合ではない。部品加工を担う立場であっても、その部品を使って製品を組み立てている親会社の占有率が重要な意味を持つ。親会社が傾けば、下請けもその影響を免れること... -
生産性変化率格差
ある生産財メーカーで、激しい競争の中に身を置いていた。主材料である鋳物の価格が大幅に上昇するだけでなく、賃金や運賃も上がり続け、さらに諸経費の増加が経営を圧迫していた。 このままでは赤字に転落するのは明らかだ。一体どうすればいいのか。私は... -
社員大食堂
業績が芳しくない、実質的には赤字状態の中堅企業――営業利益が赤字で、土地売却益によってかろうじて利益を確保している――の新設工場を見学した際の話だ。 従来、工場がいくつにも分散しており、多くのムダが生じていたため、それらをこの工場に集約するこ...