implex1023– Author –
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商品の性格を見きわめずに
C社は建築資材を扱う商社で、社員数はおよそ80人。石油不況の影響で本業は低迷しており、新たな事業の立ち上げを模索していた。主な候補として挙がっていたのは二つ。冷凍食品の分野と、プロパンガスや都市ガス用ホース接続器に取り付ける安全装置の開発だ... -
不用意な開発を戒める
この章で挙げた例は、不用意な開発のほんの一例に過ぎない。多くの企業で、安易な開発が横行している。このような状況が単なる無駄で終わらず、企業を危機的な状況に追い込む事態を招けば、深刻な問題となる。 新商品や新事業というものは、書籍に記された... -
占有率ということ
K社で手伝いをしていた際、K社長から新商品の相談を持ちかけられた。「ある会社が風呂用のバーナー事業を始めたものの行き詰まり、その後始末を引き受けてほしいという話がきたが、どうしたものか」といった内容だった。 詳しく事情を尋ねてみると、そのバ... -
王様のアイディアはダメ
建設機械メーカーで従業員が千人規模の企業から、新商品の相談が持ち込まれた。その商品はなんと新型のブランコだった。社長はその特徴について熱心に語り続ける。これこれがポイントだ、と詳細を繰り返し強調し、まだ発売前にもかかわらず成功を確信して... -
蟹は甲羅に似せて穴を掘る
第1話 N社は不動産業を基盤とし、土地の分譲や貸ビル、建売住宅の提供を主要な事業として展開していた。しかし、石油ショックによる不況が影響し、業績は停滞。会社の方向性を打開するため、「利益を生む事業ならどんな分野でも挑戦する」という姿勢を掲げ... -
一次産品にかかわるな ― 不安定な市場と利権の罠に注意
中小企業が多角化を目指して一次産品(農産物、畜産物、水産物など)に手を出すことは、大きなリスクを伴う。 一次産品の市場は天候や収穫量などの外的要因に左右されやすく、市況の変動が激しいため、中小企業がその不安定性に耐えることは難しい。 この... -
能率に目がくらんで
P社は、中堅クラスの電線メーカーだ。かつてはかなりの実績を上げていたものの、競争の激化に伴い、収益性は次第に悪化していった。 P社の社長は、現行の事業ではどんなに改善を試みても、増え続ける人件費や経費を賄うのは不可能だと感じている。このため... -
技術が優れていても
富士重工の「スバル」は、名車と称されるにふさわしい存在だ。しかしながら、月間販売台数が5,000台を超えなかった理由は明確だ。最大の要因は、自社製品を自ら積極的に販売しようとしなかったことにある。また、モデルチェンジを行わなかったことも、もう... -
コストが安ければいいのではないー「コスト病」の罠
コストを下げることに過度に囚われてしまう「コスト病」は、多くの企業が陥りがちな罠である。 製品の「安さ」だけに焦点を置きすぎた結果、製品の魅力が失われてしまい、顧客のニーズから大きく外れてしまうことがよくある。 「贅沢品」としての価値が求... -
「ひとりよがり」になっていないか
「ひとりよがり」の考え方に陥ると、発案者の「いい」という思い込みがそのまま市場でも通用すると錯覚しがちです。実際には、事業が成功するためには「顧客の視点」や「市場の需要」が欠かせないものであり、発案者の自己満足だけでは成り立ちません。 1....