implex1023– Author –
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人を量る真の物差し
人の価値を論じようとするならば、その富貴や功名、また成功や失敗といった外形的なものを第一に見るべきではない。それらは移ろいやすく、運や時勢にも左右されるものであり、真の人間性を映す鏡ではない。真に人を評価すべきは、その人がいかに世のため... -
真人の道
人が禽獣と異なる所以は、ただ言葉を話すからでも、道具を使うからでもない。徳を修め、智を啓き、己の力をもって世に益する貢献をなし得てこそ、はじめて人としての真価が問われる。すなわち、人間に与えられた理性と倫理の力を自覚し、それを実際に生か... -
職業の道と神聖なる富
人はそれぞれに異なる職を持ち、その職において尽くすべきを尽くすことが、社会を成り立たせる礎である。道理を誤らず、他を侵さず、己の分を守って富を築くのであれば、いかに発展を遂げようとも、それが争いや害を生むことはない。このようにして得られ... -
真正の文明とは何か
真正の文明とは、単に外見の華やかさや技術の進歩を指すものではない。そこには、内において力強く、外において富を備えた調和がなければならぬ。強力とは、ただ軍事や権力を意味するのではなく、国家や民の精神的力量、道義の力をも含む。富実とは、物資... -
利と義の一致
利殖と仁義とは、相反するものではなく、本来一致し得るものである。正しき道を踏み、仁義をもって為したる利こそ、真に価値ある利であり、永く続く繁栄の礎となる。私は古の聖賢の教えである『論語』と、実際の計数を司る『十露盤(そろばん)』の二つを... -
生産と利潤の根本
生産し、利を殖やす営みは、決して利欲のみによって為されてはならぬ。そこに仁義道徳の根を据えずして得た利は、一見繁栄のように見えても、真の価値も永続も持ち得ない。人を利し、己も利するためには、まずもって誠実と信義を重んじ、公平と正道を貫く... -
東洋の道徳と平和の志
われわれは、つねに己の欲せざることを他に施さぬという、自省と敬意に根ざした道を歩まねばならぬ。それは東洋に古くより伝わる道徳の根幹であり、利己を戒め、他を思う精神に貫かれている。この精神をもって己を律し、社会を導き、さらには国を超えて広... -
道徳の不変性
古の聖賢が説いた道徳は、時代や環境によって左右されるものではない。科学が進歩し、社会や技術が日々変化しようとも、人として守るべき道は変わるべきではない。真の道徳とは、人の本質に根ざすものであり、いかなる時代にも通用し、普遍の価値を持つ。... -
尽くす心と理想の実現
何事においても、自ら掌る務めに深い興味と誠をもって尽力すれば、たとえすべてが思い通りに運ばずとも、その情熱と努力は、やがて心に描いた理想、あるいは欲するものの一部に通じ、形を得るものである。大成を急がず、小さき一歩にも魂を込め、粘り強く... -
商業における信の重み
商業においては、いかなる時代、いかなる状況にあっても、徳義を貫き通さねばならぬ。その根幹に据えるべきは、信である。信なくして取引は成り立たず、信なきところに繁栄は築かれない。商品や価格の巧みさよりも、まずもって信義を重んじ、取引先、顧客...