implex1023– Author –
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侮辱は命に値する、誇りを守る一太刀
一、原文と現代語訳(逐語) 原文抄(聞書第七) 出仕の節、何某右の事を申出し、なぶり候を、抜打に打捨てられ候。この事御詮議になり、「殿中にて粗忽の仕方に候間、切腹仰付けらるべき」旨申上げ候。直茂公聞召され、「人よりなぶられて、だまりて居る... -
人の誇りを折るなかれ、それは命より重い
一、原文と現代語訳(逐語) 原文抄(聞書第十) 「侍たる者は拷間におよんで死後までの恥と存じ、無き科をも引受け申す事歴然に候。以来侍の拷問無用」と申付けられ候由。 「下々の者は、端不義をも仕るものに候。死罪には及ぶまじき」「この者以後の締り... -
無事のなかに、危機を見る者が真の備えを持つ
一、原文と現代語訳(逐語) 原文抄(聞書第八) 佐賀表相替る儀はこれなく候へども、不意はただ今の事も相知れず候故、士ども片時も油断仕らずなどと申すものにて候…山本神右衛門は、老後見舞の人に、「世上替る事はこれなきや」と尋ね候に、「無事に御座... -
上を向け。地を見て歩く者に、未来は切り拓けぬ
一、原文と現代語訳(逐語) 原文抄(聞書第三) 嘆かはしき事は、最早肥前の槍先に弱みが付きたると思はるるなり。其方など心得候て罷在るべく候。往来の人を見るに、大かた上瞼打下ろし、地を見て通るものばかりになりたり。気質がおとなしくなりたる故... -
立ち上がる者が、先頭を行く
一、原文と現代語訳(逐語) 原文抄(聞書第十一) 人は立ち上る所なければ物にならず。人より頭を踏まれ、ぐづぐづとして一生を果すは回惜しき事なり。誠に夢の間なるに、はつきりとして死にたきことぞかし。ここに眼の付く者稀なり。…「彼も人なり、鬼神... -
礼に背かず、権威に媚びず、己の実をもって貫け
一、原文と現代語訳(逐語) 原文抄(聞書第七) 「権左衛門、成るまじき」と御申し候へば、「さらば一槍仕るべし」と申し、竹刀おつ取り、山城殿を、馬より、さかさまに突落し申し候。…「正月初に、馬上武者の首二つ取りたり。気味よし気味よし」と申して... -
窮鳥を守る覚悟に、武士の一分が宿る
一、原文と現代語訳(逐語) 原文抄(聞書第八) この度の駆込者の儀は、鍋島の家に懸り申す事に候。助右衛門を人と存じ、相頼み候を、我が身難儀に及び候とて差出し候ては、侍の一分立ち申さず候。某一命に替へ申す覚悟にて候。大炊頭様御意と候ても、こ... -
磨かれた意地は、人を寄せ、道を切り拓く
一、原文と現代語訳(逐語) 原文抄(聞書第二) 意地は内にあると外にあるとの二つなり。外にも内にもなきものは役に立たず。たとへば刀の身の如く、切れ物を研ぎはしらかして鞘に納めて置き、自然には抜きて眉毛にかけ、拭いて納むるがよし。外にばかり... -
死者の名を汚さず、己の責を引き受けよ
一、原文と現代語訳(逐語) 原文抄(聞書第八) 中野将監切腹後、内蔵允、楢村清兵衛両人は将監付役にて候故、将監仕方一々御尋ねこれあり候。…「将監殿が未だ存生にて候はば、少々は其の仰せにて候と申す儀もこれあり候はん。然れども、今は故人に候間、... -
わが身よりも、義を貫け
一、原文と現代語訳(逐語) 原文抄(聞書第七) 新五郎儀も小舅の悪儀に付て、さっそく江戸より差下され、蟄居仕り候事三年にて候。…「是非とも女房に暇を出し候へ。その時は元々の如く召使はるべき事に候。今四石の身代にて何をながらへ申すべきや」と、...