implex1023– Author –
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耳の痛い言葉こそ、魂を磨く砥石なり
一、原文の引用と逐語訳 世に教訓する人は多し、教訓を悦ぶ人は少し。まして教訓に従ふ人は稀なり。年三十も越えたる者は、教訓する人もなし。教訓の道ふさがりて、我がままなる故、一生非を重ね、愚を増して、すたるなり。道を知れる人には、なにとぞ馴れ... -
欠点を責めるな、徳を引き出せ
一、原文の要点抜粋と現代語訳(逐語) 他人のくせを直すのは、自分のくせを直すよりむずかしいものである。どんな相手でもいいかげんな付き合い方をせず、見知らぬ者からも慕われるように心がけよ。 意見は、相手の性質に応じた言い方で、相手の「好きな... -
聞かぬふりは、信と品のある叱責
一、原文の引用 野田七右衛門へ西日山心遣仰付け置かれ候処、自分に本を伐り売払ひ候由、御日付より言上仕り候。その後七右衛門、御前に罷出で候時分、潜かに仰聞けられ候は、「斯様の事を聞き候。其方は左様の儀仕るまじく候。いか様似たる事を人の沙汰致... -
一度の過ちを許せぬ者に、人は育てられぬ
一、原文の引用 何某立身御詮議の時、この前大酒仕り候事これあり、立身無用の由衆議一決の時、何某申され候は、「一度誤これありたる者をお捨てなされ候ては、人は出来申すまじく候。一度誤りたる者は、その誤を後悔致すべき故、随分嗜み候て御用に立ち申... -
落ち目に寄り添える者こそ、本当の仲間
一、原文の引用 「人の心を見んと思はば煩へ」と云ふことあり。日頃は心安く寄合ひ、病気または難儀の時大方にする者は腰抜なり。すべて人の不仕合せの時別けて立入り、見舞、付届仕るべきなり。恩を受け候人には、一生の内疎遠にあるまじきなり。斯様の事... -
恥を隠すは、真の思いやり
一、原文の引用 松平大和殿へ綱茂公そのほか御客夜会、御旗本老人北見久太夫殿相越され、古戦の話これあり。夜更け候てより、給仕の小姓銚子を持ち、つまづき候て、久太夫殿膝に酒を打ち懸け、無興にて赤面致し罷立ち候。余の小姓罷出で、久太夫殿を次の間... -
誤解を恐れるな、卑怯を恐れよ
一、原文と現代語訳(逐語) 原文(聞書第八より) 先年川上お経の内、紺屋町田代辺の者五六人参詣致し、途中にて酒をたべ、時を移し居り申し候。その内、久左衛門被官、宿許へ早く帰らず候て叶はざる事候故、同道人にも断り申し、日の内に罷帰り候。然る... -
最期まで、名に恥じぬ覚悟を貫け
一、原文と逐語訳 原文(聞書第九) 山本神右衛門末期の事神右衛門八十歳にて、病中「うめきさうなる気色」と申し候に付、「うめき候へば気色もよくなる様にこれあるものに候。うめき申され候様に」と申し候へば、「左様にてこれ無く候。山本神右衛門と諸... -
別れの時こそ、魂の誇りを貫け
一、原文と逐語訳 原文(聞書第四) 御気分御差詰めにて、御前様御暇乞にお出でなされ、御枕元に寄らせられ、「さてさて、日出度き御臨終にて候。御一生落度なく弓矢の御働き、国家をお固め、子孫数多お持ち、家督をもお譲り、八十におよび御成就は比類な... -
気は病をも治す ― 生命力は心から生まれる
一、原文と逐語訳 原文(聞書第十一) 病気永引き候へば、気草臥れ、大病になるものなり。斯様の病人は、気を引立て候事肝要に候。祈疇願力にて奇特などこれある時、きほひ出来申し候。常々法号真言など唱へさせ候へば、気転じ病気を忘るるものなり。軍書...