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■引用原文(日本語訳)
感官と意と知性を制御し、
願望と恐怖と怒りを離れ、解脱に専念する。
常にこのようである聖者は、まさに解脱している。
(第5章 第28節)
■逐語訳
感覚器官、心(意志)、知性をよく制御し、
欲望・恐怖・怒りを手放し、
解脱(モークシャ)にひたすら専念している者は、
まさにすでに解脱した者である。
■用語解説
- 感官(インドリヤ):視覚・聴覚など、外界と接触する五感。
- 意(マナス):感覚情報の受容・判断・意志決定の場。
- 知性(ブッディ):識別力・理性・深い思考を司る心の機能。
- 願望(カーラナ):欲する心。感覚対象への執着。
- 恐怖(バヤ):喪失や不安への反応。未確定な未来への不安。
- 怒り(クローダ):欲望が妨げられた際に生じる否定的情動。
- 解脱(モークシャ):輪廻(サンサーラ)からの解放。自由・安穏の状態。
■全体の現代語訳(まとめ)
感覚や心、知性をしっかりと制御し、
欲望や恐れ、怒りを捨てて、
ただひたすらに解脱(心の自由)を目指して生きる人は、
すでにその状態に至った者である。
■解釈と現代的意義
この節は、**「心の成熟とは何か」**を明確に語っています。
外部の刺激や感情に振り回されず、
自己の内側をしっかりとコントロールする者こそ、真に自由である。
それは、単なる修行者や隠者だけでなく、
現代社会に生きる私たちにも必要な「精神的な独立」の在り方を示しています。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用のポイント |
---|---|
感情の自己管理 | 感情(特に怒り・恐怖)を手放すことは、冷静な判断力を保つ鍵である。 |
ブレない意思決定 | 知性と思考をしっかり使い、短期的な欲望に惑わされずに行動することが、長期的な成果に結びつく。 |
マインドセット | 外部環境ではなく、自分の意識の持ちようが「自由」や「幸福」を決定する。 |
リーダーシップ | 恐れず、怒らず、欲に執着せずに導く姿勢が、信頼を生む。 |
■心得まとめ
「欲と怒りを制し、心を定めてこそ、真の自由がある」
感情に支配されるのではなく、
感情を見つめ、超えていく力を持て。
それは無感情になることではなく、
自由な心で、何ものにも縛られずに行動すること。
その心構えが、ビジネスでも人生でも揺るぎない成果をもたらす。
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