■ 引用原文(日本語訳)
起てよ。つとめよ。平安を得るために、ひたすらに学べ。
心が落ち着かないこと、放逸、奮起しないこと、わが身を制しないこと。
――『ダンマパダ』第四章「はげみ」第33節
■ 逐語訳(一文ずつ現代語訳)
- 起てよ。つとめよ。
今すぐ立ち上がって、なすべきことを果たせ。怠惰に流れることなく、精進せよ。 - 平安を得るために、ひたすらに学べ。
心の平安(涅槃)を求める者は、継続的に学び、真理に向かって前進しなければならない。 - (以下を慎め):心が落ち着かないこと、放逸、奮起しないこと、わが身を制しないこと。
注意散漫・怠け心・やる気の欠如・自己コントロールの欠如は、安らぎの妨げとなる。
■ 用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
起てよ(ウッタッタ) | 精神的にも肉体的にも“目覚めよ”という呼びかけ。 |
つとめよ(ヴィヤーヤタ) | 努力しなさい、実践せよという教え。 |
平安(シャンティ/ニルヴァーナ) | 苦しみ・執着から解き放たれた内的静けさ。 |
放逸(プラマーダ) | 無気力・怠慢・集中力の欠如。 |
奮起しないこと | 意志力・熱意・行動意欲の欠如。 |
わが身を制しないこと(アッタナン・ナ・ニヨージェー) | 自制できず、欲望や感情に流される状態。 |
■ 全体の現代語訳(まとめ)
「いま立ち上がり、行動せよ」と語りかけるこの節は、
怠惰や気分任せの生き方では、決して真の平安は得られないと教える。
静けさを得たいならば、学び続け、自己を律し、
心の揺れを鎮め、怠惰を断ち、意志を立て、
自己制御を習慣化することが必要だ――それが仏の教えである。
■ 解釈と現代的意義
この節は、非常に力強い目覚めと行動の呼びかけです。
まるで眠っている者に、「目を覚まし、歩み始めよ」と
喝を与えるように語られます。
現代社会では、心の乱れ・集中力の散漫・行動意欲の低下は、
慢性的ストレスや情報過多によって生じがちです。
その中で、この句は、**「まず行動しよう」**という明確な指針を与えてくれます。
また、真理を得るには**「学び」と「実践」**が欠かせないと強調しています。
知識だけでも行動だけでも不十分で、
それらが結びついたときにこそ、平安は訪れるのです。
■ ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
即行動のマインドセット | 状況を変えるには、考えすぎる前に「まず動く」ことが鍵。行動から学びが生まれる。 |
自己律の重要性 | 自由に見える働き方ほど、セルフマネジメントが問われる。自らを律する力が信頼を生む。 |
継続的学習の価値 | 技術や時代が変化しても、学び続ける姿勢が長期的な安定と成長を支える。 |
集中力と注意管理 | 心の静けさ=パフォーマンスの土台。注意の分散を防ぎ、フォーカスを保つことが生産性の鍵。 |
■ 心得まとめ
「立て。つとめよ。そして学べ」
平安は、ただ待つ者に訪れるものではない。
精神を奮い立たせ、行動し、学び、そして自己を律した者にこそ、
真の静けさは開かれる。
今この瞬間が、目覚めと歩みの第一歩である。
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