MENU

好悪がもたらす迷い――創造の瞬間から始まる錯覚


目次

■原文

好悪から生ずる相対観の迷妄により、万物は創造の時にすでに迷妄に陥る。
(第7章・第27節)


■書き下し文

好悪より生ずる相対の迷妄によりて、衆生は創造の始めにおいてすでに迷いに陥る。


■現代語訳(逐語/一文ずつ)

  • 好悪から生ずる相対観の迷妄により
     → 「好き・嫌い」という感情に基づく価値判断が、ものごとを相対的に見る錯覚(マーヤ)を生む。
  • 万物は創造の時にすでに迷妄に陥る。
     → 生まれたその瞬間から、すべての存在(生命)はその迷妄の中に陥っている。

■用語解説

  • 好悪(ラーガ・ドヴェーシャ):快を求め、不快を避ける二元的欲求。執着と嫌悪。
  • 相対観(ドヴァイタ・ダーシュナ):物事を二元的(良い/悪い、美/醜など)に見る見方。
  • 迷妄(モーハ):無知に基づく錯覚や誤解。真理を見失った状態。
  • 創造の時(プラブリッティ):生誕、または世界の創成の瞬間。輪廻の起点。
  • 万物(サルヴァ・ブータニ):すべての生きとし生けるもの。

■全体の現代語訳(まとめ)

すべての存在は、「好き」「嫌い」という感情に基づく価値観によって相対的に世界を見てしまい、誕生の瞬間からすでに錯覚(迷妄)に陥っている。


■解釈と現代的意義

この節は、人間の根源的な迷いが「好悪」という感情的判断から生まれることを指摘しています。

「これは好き」「あれは嫌い」といった二元的な判断基準は、物事をあるがままに見る妨げとなり、真理から目を逸らす原因になります。
しかもその迷いは、生まれた瞬間からすでに始まっている――これは**人間存在の根本的な性(さが)**を語っています。


■ビジネスにおける解釈と適用(個別解説付き)

  • 感情的判断は真の判断を曇らせる
     → 好感や反感に基づいて人を評価したり、プロジェクトを判断すると、誤った選択をしやすい。
     → 「好き・嫌いより、正しいかどうか」
  • 先入観や偏見は、生まれつき備わっている
     → 無意識に刷り込まれた価値観(学歴、出身、性別、肩書など)を無自覚に採用していないか、常に自問せよ。
     → 「偏見に気づくことが、脱却の第一歩」
  • 創業時・創造時のバイアスは特に注意が必要
     → 起業や新製品開発など「創造の瞬間」には、自分の好みに偏るリスクが高い。客観性を持つチーム作りが重要。
     → 「創造のときこそ、ユーザー視点を忘れるな」

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次