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怨みに怨みで報いては、終わりなき連鎖が続く


目次

📜 引用原文

第一四章 憎しみ 一一
「実にこの世においては、
およそ怨みに報いるに怨みを以てせば、
ついに怨みの息むことがない。
堪え忍ぶことによって、怨みは息む。
これは永遠の真理である。
— 『ダンマパダ』


🔍 逐語訳

まことにこの世において、
もしも怨みを受けたときに、
それに対して怨みで報い返すならば、
怨みの連鎖は決して終わることがない。

しかし、耐え忍ぶこと――すなわち忍耐と寛容によってこそ、
その怨みは静まり、消えていくのである。
これは昔から変わらぬ、普遍の真理である。


🧩 用語解説

  • 怨みに報いる:相手からの攻撃・悪意に対し、同じ方法で返すこと。復讐や報復。
  • 堪え忍ぶ(忍辱):怒りや屈辱に耐えること。仏教では「六波羅蜜」の一つであり、心の完成に不可欠な徳。
  • 怨みが息む(やむ):怒り・憎しみの連鎖が断ち切られ、心の安らぎが訪れる状態。
  • 永遠の真理(サナータノ・ダンモ):仏教で繰り返し説かれる「法(ダルマ)」の中心的教義。

🧾 全体の現代語訳(まとめ)

この世では、
もし人が怨みに対して怨みで報いるならば、
その怒りと憎しみの連鎖は決して終わることがない。
しかし、堪え忍ぶことによってこそ、
その怨みはやがて鎮まり、争いは終わる。
これはいつの時代でも変わらぬ、普遍の真理である。


🧠 解釈と現代的意義

この節は、**「怒りの連鎖を断ち切る唯一の方法」**を示しています。
報復の連鎖は、必ず新たな報復を生む――これは歴史が証明しています。
しかしそれを止める力は、忍耐・寛容・慈悲の心にしかないと仏陀は説きました。

現代社会では「やられたらやり返す」「損してはならない」という価値観が横行していますが、
本当の解決はそこにはありません。むしろ、最初に怒りを手放した者が、
真に強い人間であり、社会の和を導く存在となるのです。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点実務での活用例
対立処理とマネジメント社内トラブルで「やり返す」姿勢は関係を悪化させる。冷静に受け止め、対話で解決を図ることが組織の健全性を保つ。
クレーム対応怒っている相手に対し同じトーンで返せば炎上する。忍耐と誠実さで対応すれば、信頼に変わることもある。
リーダーシップ部下の失敗や反発に即座に怒るのではなく、理解しようとする姿勢が信頼と尊敬を生む。
ブランド姿勢SNS上の批判に感情的に応じるのではなく、沈着冷静な対応こそがブランドの信頼性を高める。

🧭 心得まとめ

「怒りに怒りで返せば、世界は盲目になる」(ガンジー)
「許しが争いを終わらせる。ただ一つの方法である」

この句が伝えるのは、**「怒りに勝つ道は、怒りに乗らないこと」**です。
反射的な報復ではなく、自らの内に怒りを燃やさぬ力を養うこと
それが心の自由であり、社会の安定を築く唯一の道であると、仏陀は説いています。

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