貸倒引当金の繰入限度超過額は、税法上の損金不算入となります。この場合、会計上費用計上した金額と税法上認められる金額の差異に基づいて税効果会計を適用します。以下に具体的な仕訳例を示します。
第1期末:貸倒引当金300円のうち100円が損金不算入の場合
- 貸倒引当金繰入額:300円(会計上計上)
- 損金算入可能額:200円(税法上限度額)
- 損金不算入額:100円
- 法人税等の実効税率:40%
繰延税金資産の計上
損金不算入額の100円に対して40%の税効果を考慮します。
仕訳
借方: 繰延税金資産 40
貸方: 法人税等調整額 40
第2期:差異の解消(第1期の貸倒引当金100円が取り崩される場合)
第1期末に繰入れた貸倒引当金300円が全額取り崩された場合、差異が解消されます。第1期に計上した繰延税金資産を取り崩します。
仕訳
借方: 法人税等調整額 40
貸方: 繰延税金資産 40
第2期末:新たに貸倒引当金350円のうち150円が損金不算入の場合
- 貸倒引当金繰入額:350円(会計上計上)
- 損金算入可能額:200円(税法上限度額)
- 損金不算入額:150円
- 法人税等の実効税率:40%
繰延税金資産の計上
損金不算入額の150円に対して40%の税効果を考慮します。
仕訳
借方: 繰延税金資産 60
貸方: 法人税等調整額 60
まとめ
- 差異の発生時には、損金不算入額に基づき繰延税金資産を計上。
- 差異が解消したときには、繰延税金資産を取り崩す。
- 法人税等の調整は期末に一括して行う。
これにより、会計上の利益と税法上の課税所得のズレを調整し、正確な財務報告を実現します。
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