減価償却費の償却限度超過額は、税法上の損金不算入となるため、税効果会計を適用します。会計上計上された減価償却費と税法上認められる減価償却費の差異について調整を行います。
例3:第1期末における減価償却費の損金不算入の仕訳
- 備品の取得額:1,000円
- 会計上の減価償却費(定額法・耐用年数4年)
1,000円 ÷ 4年 = 250円 - 税法上の減価償却費(法定耐用年数5年)
1,000円 ÷ 5年 = 200円 - 損金不算入額
250円(会計上) – 200円(税法上) = 50円 - 法人税等の実効税率:40%
税効果会計の仕訳
損金不算入額50円に対して、40%の税効果を繰延税金資産として計上します。
仕訳
借方: 繰延税金資産 20
貸方: 法人税等調整額 20
翌年度の仕訳:差異が解消する場合
第2期末において、備品が売却または除却された場合、差異が解消されます。この場合、繰延税金資産を取り崩します。
仕訳
差異解消時の仕訳(備品売却・除却)
借方: 法人税等調整額 20
貸方: 繰延税金資産 20
例4:第2期末における追加減価償却費の処理
第2期も同様に、会計上の減価償却費と税法上の減価償却費に差異が生じる場合、税効果会計を適用します。
- 会計上の減価償却費:250円
- 税法上の減価償却費:200円
- 損金不算入額:50円
- 法人税等の実効税率:40%
税効果会計の仕訳
第2期末に発生した差異の仕訳
借方: 繰延税金資産 20
貸方: 法人税等調整額 20
第2期末の一括処理
第2期末には、前期の差異が解消していない場合、そのまま繰り越され、当期発生分と合わせて処理します。
- 第1期分の繰延税金資産:20円(未解消)
- 第2期分の繰延税金資産:20円
- 合計:40円
仕訳例(第2期末における一括処理)
借方: 繰延税金資産 40
貸方: 法人税等調整額 40
まとめ
- 差異の発生時(損金不算入額が発生)
繰延税金資産を計上し、法人税等調整額を対応させます。 - 差異の解消時(備品売却・除却など)
繰延税金資産を取り崩します。 - 期末の一括処理
前期から繰り越された差異と当期に発生した差異をまとめて処理します。
これにより、会計上の利益と税法上の課税所得を調整し、正確な財務報告を実現します。
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