目次
■原文
ヨーガの幻力*に覆われた私は、すべての者に明瞭ではない。この迷える世界は、私が不生不滅であることを知らない。
(第7章・第25節)
■書き下し文
ヨーガの幻力によって覆われた私は、すべての者に明らかではない。この迷える世界は、私が不生不滅であることを知らない。
■現代語訳(逐語/一文ずつ)
- ヨーガの幻力によって覆われた私は、すべての者に明らかではない。
→ 私は自らの神秘的な力によって姿を隠しており、人々には真の姿が見えない。 - この迷える世界は、私が不生不滅であることを知らない。
→ この混乱した世界の人々は、私が生まれず滅びない永遠の存在であることを知らない。
■用語解説
- ヨーガの幻力(ヨーガ・マーヤー):クリシュナが持つ神的な幻力で、真理を覆い隠す神秘の力。
- 覆われた(アーヴリタ):真の姿が見えなくされている状態。
- 不生不滅(アジャ・アヴィナシ):生まれることもなく、死ぬこともない永遠なる本質。
- 迷える世界(ムードハ・ローカ):無知や執着に惑わされ、本質を見失った人々が住む現象世界。
■全体の現代語訳(まとめ)
私は自らの神秘的な幻力によって姿を隠しているため、誰の目にも明らかではない。この迷いに満ちた世界の人々は、私が生まれもせず、死にもしない永遠の存在であることを知らない。
■解釈と現代的意義
この節は、「見えないこと」と「存在しないこと」を混同してしまう人間の認識の限界を示しています。クリシュナは、自身が人々にとって不可視の存在である理由を語り、それが神の意志による“覆い”であることを示しています。
つまり、真理は見えにくくされているが、それでも常に在るということ。見る側に内なる目(知性・直観・信仰)がなければ、そこにあっても認識できないのです。
■ビジネスにおける解釈と適用(個別解説付き)
- 真に価値あるものは、すぐには見えない
→ 見た目に現れない理念・人間性・努力などが、長期的価値の本質。第一印象や即効性に頼らず、時間をかけて本質を見る力が必要。
→ 「覆われた価値に気づく力を養え」 - マーケティングや話術に惑わされず、本質を問え
→ 魅力的な広告や演出は「幻力」に過ぎない場合もある。実体を見抜く力がないと誤認する。
→ 「中身と外見を混同するな」 - 信頼と成果は、すぐには表れないが、消え去ることもない
→ 積み重ねた信頼や価値は“隠れた資産”であり、一朝一夕では認識されにくい。
→ 「不生不滅の価値を築け」
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