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📜 引用原文(日本語訳)
ひとは、信ずるところにしたがって、きよき喜びにしたがって、ほどこしをなす。だから、他人のくれた食物や飲料に満足しない人は、昼も夜も心のやすらぎを得ない。
——『ダンマパダ』第18章「汚れ」第249偈
📘 逐語訳
- ひとは、信ずるところにしたがって:人は自らの信念や価値観に基づいて行動する。
- きよき喜びにしたがって:純粋な喜び、善意や慈悲心によって布施を行う。
- ほどこしをなす:食物や飲料など、布施(施し)を行うこと。
- 満足しない人は:他人の好意を受け入れず、足りないと感じる心。
- 昼も夜もやすらぎを得ない:常に不満と執着に心が揺れており、安らぎを感じられない。
🧾 用語解説
用語 | 意味 |
---|---|
ほどこし(布施) | 財物や食物、知識、恐れなき心などを他人に与える行為。 |
信ずるところ | 与える側の信念・宗教的動機・道徳観。 |
きよき喜び | 自利を離れた、清らかな動機による喜び(喜捨の精神)。 |
心のやすらぎ | 欲望・不満・執着のない、仏教的な内的平穏。 |
🌏 全体の現代語訳(まとめ)
人はそれぞれ、自分の信じることや清らかな喜びに従って、他人に施しを与えている。
にもかかわらず、その施しに対して「足りない」「もっと欲しい」と満足しない人は、昼も夜も心が休まらず、いつまでも飢えと不満の中にいる。
満足する心こそが、やすらぎの鍵である。
💡 解釈と現代的意義
この偈は、感謝と満足の欠如が、心の不安と苦しみを生むということを明確に説いています。
人は「与えられる量」ではなく、「それをどう受け取るか」によって心の平穏を得るかどうかが決まります。
逆に言えば、どれだけ多くを受け取っても、感謝のない心は決して満たされることがないのです。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
利他性の受け取り方 | 同僚や部下からの協力や気遣いに対して「当然」と思えば、不満が募り、関係が悪化する。 |
顧客対応 | 顧客からのフィードバックや評価に「もっと」を求めすぎると、不信や傲慢さが生まれる。 |
成果に対する態度 | 常に「もっと評価されたい」「報酬が足りない」と感じると、努力はあっても心は満たされない。 |
感謝のマネジメント | 満足と感謝を基盤にした企業文化が、人間関係とパフォーマンスの安定をもたらす。 |
🧭 心得まとめ
「満足は与えられるものではなく、自ら選ぶ心の姿勢である」
施しに対して「足りぬ」と感じる心は、外に飢えを見るが、内に飢えを抱えている。
与えられたものに感謝し、信念に支えられた善意を受け取る心こそ、日々のやすらぎをもたらす。
感謝できる人だけが、心から満たされることができるのです。
この偈は、執着を断ち、感謝と満足をもって生きることの大切さを、やさしくも深く教えてくれます。
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