目次
■原文
彼はその信仰と結ばれ、その神格を満足させることを望む。そしてそれから諸々の願望をかなえられる。それらは実は私自身によりかなえられたものである。
(第7章・第22節)
■書き下し文
彼は、その信仰と結びつき、崇拝する神格を喜ばせようと望む。そして、彼はその神格から、さまざまな願いをかなえてもらう。それらの願望は、実のところ、すべて私によって与えられたものである。
■現代語訳(逐語/一文ずつ)
- 彼はその信仰と結ばれ、
→ 信仰心に導かれて、その思いに忠実に生き、 - その神格を満足させることを望む。
→ 自分が信じる神に祈りを捧げ、喜ばせようとする。 - そしてそれから諸々の願望をかなえられる。
→ 祈りに応じた結果として、現世的な願望が実現する。 - それらは実は私自身によりかなえられたものである。
→ だがその実現の源泉は、信仰の対象ではなく、至高者である「私(クリシュナ)」によるものなのだ。
■用語解説
- 信仰と結ばれる:内心に根ざした信仰心が確立し、深く心を結ぶこと。
- 神格を満足させる:祭祀・祈願などの行為によって神に祈り、感応を得ようとすること。
- 諸々の願望:健康・財産・子孫・成功など、個人的または社会的な成就を指す。
- 私(アハム):ここではクリシュナ、または宇宙根本原理である「至高の存在」。
■全体の現代語訳(まとめ)
人は信仰をもって神々を崇め、彼らを満足させることで様々な願いを叶えてもらおうとするが、実際にはそれらの願望を実現させているのは、私(至高神)自身なのだ。
■解釈と現代的意義
この節では、「信仰対象がどの神であれ、願いを成就させるのはすべて至高神(クリシュナ)である」という一元的な世界観が示されています。表面的には多神教的な振る舞いを許容しながらも、すべての現象は一つの源に還元されるという、ヴェーダーンタ哲学的な含意が込められています。
■ビジネスにおける解釈と適用(個別解説付き)
- 成果の背後にある真の力を見よ
→ 成果や成功は、個人の努力や信念に基づくが、実際には見えない支援や大いなる流れ(時流・人脈・環境)によってもたらされる。
→ 「すべての実現には、見えざる力の働きがある」 - 信念の持続が成果につながる
→ 明確な信念と行動が一致することで、成果は生まれやすくなる。しかし、それを動かす大元にはビジョンや理念といった根源的動機がある。
→ 「信仰とは、行動と結果を結ぶ導火線である」 - 成果は個人のものではなく、組織全体の力の現れでもある
→ チームの成功は、一人のリーダーや一部署の努力だけではなく、全体の信頼・構造・文化の力によって支えられている。
→ 「願望の成就は、集合的な力の結晶である」
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