親会社と子会社間の債権債務を相殺消去した場合、それに関連する貸倒引当金の調整も行う必要があります。以下に、親会社と子会社の貸倒引当金の修正に関する具体的な仕訳例を示します。
1. 親会社の貸倒引当金の修正
状況
- 親会社(P社)の売掛金残高:500円(すべて子会社(S社)に対するもの)。
- 親会社では、この売掛金に対して5%の貸倒引当金(= 25円)を計上。
修正の理由
- 親会社の貸倒引当金は、連結財務諸表では内部取引として相殺消去されるため、その計上を取り消します。
仕訳
借方: 貸倒引当金 25円
貸方: 貸倒引当金繰入(費用) 25円
2. 子会社の貸倒引当金の修正
状況
- 子会社(S社)の売掛金残高:500円(すべて親会社(P社)に対するもの)。
- 子会社では、この売掛金に対して5%の貸倒引当金(= 25円)を計上。
- 親会社が子会社の株式を60%所有(非支配株主持分割合:40%)。
修正の理由
- 子会社の貸倒引当金と貸倒引当金繰入(費用)の調整に加え、非支配株主持分への影響も修正します。
仕訳
- 貸倒引当金と貸倒引当金繰入の取り消し
借方: 貸倒引当金 25円
貸方: 貸倒引当金繰入(費用) 25円
- 非支配株主持分の調整
- 貸倒引当金繰入の減少額(25円)のうち、非支配株主持分割合(40%)に相当する部分(= 25円 × 40% = 10円)を非支配株主持分に振り替えます。
借方: 非支配株主に帰属する当期純損益 10円
貸方: 非支配株主持分当期変動額 10円
3. まとめ
親会社の修正仕訳
借方: 貸倒引当金 25円
貸方: 貸倒引当金繰入(費用) 25円
子会社の修正仕訳
- 貸倒引当金の調整:
借方: 貸倒引当金 25円
貸方: 貸倒引当金繰入(費用) 25円
- 非支配株主持分の調整:
借方: 非支配株主に帰属する当期純損益 10円
貸方: 非支配株主持分当期変動額 10円
注意点
- 相殺消去の徹底:
- 内部取引高や関連する貸倒引当金の処理は、グループ内取引を連結財務諸表に反映させないために必須です。
- 非支配株主持分への配慮:
- 子会社の費用削減に伴う影響を非支配株主持分に反映させることが重要です。
- 試験対応:
- 指示された科目名(例: 非支配株主持分当期変動額、非支配株主に帰属する当期純損益など)を正確に用いることが求められます。
これらの処理を行うことで、連結財務諸表が正確に企業グループ全体の財務状況を反映するようになります。
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