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他者に頼らず、自ら発奮して行動を起こす

孟子は、文王のような聖王が登場してからその影響を受けて行動する者は、まだ凡庸な人であると説いた。真に優れた人物、いわゆる豪傑の士は、聖王の出現を待つことなく、自分自身で発奮し、行動を起こすものである。成功や発展を他人に頼るのではなく、自らの意志と力で道を切り開くことが、真の英雄の姿であると孟子は教えている。

「孟子曰(もうし)く、文王を待ちて而(しか)る後に興る者は、凡民なり。夫の豪傑の士の若きは、文王無しと雖(いえど)も猶お興る」

「文王のような聖王を待ってから行動する者は、まだ凡庸な人間である。本当に優れた豪傑の士は、聖王が現れなくても、自ら発奮して行動を起こす」

成功を収めるためには、他者の後押しや条件が整うのを待つのではなく、自らの信念と行動で道を切り開くことが大切だ。

※注:

「豪傑の士」…本当に優れた才智を持ち、自ら行動を起こす人物。
「凡民」…普通の人、特別な才能や行動を起こさない者。

目次

『孟子』 公孫丑章句(上)より


1. 原文

孟子曰、待文王而興者、凡民也。若夫豪傑之士、雖無文王、猶興也。


2. 書き下し文

孟子曰(いわ)く、文王(ぶんおう)を待ちて而(しか)る後に興(おこ)る者は、凡民(ぼんみん)なり。夫(そ)れ豪傑(ごうけつ)の士の若(ごと)きは、文王無(な)しと雖(いえど)も、猶(なお)興るなり。


3. 現代語訳(逐語/一文ずつ)

  • 「待文王而興者、凡民也」
     → 文王のような立派な王が現れるのを待って初めて奮い立つような者は、凡庸な民衆である。
  • 「若夫豪傑之士、雖無文王、猶興也」
     → しかし、豪傑と呼ばれるような優れた士(人物)は、たとえ文王がいなくても、自ら立ち上がるのだ。

4. 用語解説

  • 文王(ぶんおう):周の文王。理想の聖君とされる。徳治によって多くの賢人を集めたとされる人物。
  • 待文王:理想のリーダーの出現を待つこと。
  • 興る(おこる):立ち上がる、奮起する、行動を起こす。
  • 凡民(ぼんみん):一般庶民。主体性に欠け、他に依存する人々。
  • 豪傑之士(ごうけつのし):勇気と知恵を持ち、行動力と道義心を備えた人物。自己主導型の君子や英雄的人材。

5. 全体の現代語訳(まとめ)

孟子はこう語った:
「文王のような立派なリーダーが現れるのを待って初めて立ち上がる者は、ただの凡人にすぎない。
しかし、豪傑の士ともなれば、たとえ文王のような存在がいなくても、自ら進んで立ち上がるものである。」


6. 解釈と現代的意義

この章句は、**「自律的な行動の重要性」**を孟子が力強く説いた言葉です。

  • 凡人=依存型思考/豪傑=自発型思考
     「良いリーダーがいないと動けない」という姿勢は、環境依存・受動的。他方、自らの信念と判断で行動を起こす者こそ真のリーダー的人材。
  • 環境に左右されない“志の強さ”が、人物を決める
     困難な時代にあっても、自らの価値観と信念によって動く者は、時代を変える側になる。
  • 優れた者は、時を待たずして起つ
     理想的な上司や制度を待つより先に、自らが行動・変革の起点となることが求められている。

7. ビジネスにおける解釈と適用(個別解説付き)

「リーダーが現れないと動けない」は凡人の姿勢

  • 経営層や上司の指示待ちでしか動けない人材は、変化に適応できない。
  • 自ら判断し、課題を見つけ、提案・行動に移せる人材が「豪傑の士」である。

「体制に依存せず、行動で引っ張る人材」が未来をつくる

  • 新しい制度や支援が整っていない状況でも、自分の中にビジョンと正義感があれば動き出せる。
  • 特にスタートアップや変革期の組織には、このような“先駆者”が必要不可欠。

「あなた自身が“文王”となれ」

  • 期待されるリーダーがいないなら、自分がその役割を引き受ける覚悟が求められる。
  • 組織内でポジションを待つのではなく、自ら行動を起こす者が評価される時代。

8. ビジネス用の心得タイトル

「待つな、起て──“豪傑の士”は、時を待たずに動く」


この章句は、**“他人や環境に依存せず、自ら志を立てて動くことの価値”**を明確に示す孟子の名言です。
現代のリーダー育成、主体性教育、自律型人材開発においても非常に重要な指針となります。

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