目次
📜 原文(第四一節)
悪いことをするよりは、何もしないほうがよい。
悪いことをすれば、後に悔いる。
悪いことをしたならば、(のちに)憂える。
悪いところ(=地獄)に行って憂える。
🔍 用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
悪いこと | 貪(とん)・瞋(しん)・癡(ち)に根ざす言動。非道徳的・非倫理的行為。 |
悔いる(後悔) | 行為の結果を見てから生じる心の痛み。因果の報いとしての苦。 |
憂える | 精神的な苦悩。行動の報いとして現れる長期的な後悔・苦悩。 |
悪いところ(地獄) | 行為の果として生じる最も重い報いの象徴。比喩的にも使われる「内的地獄」。 |
🧠 解釈と現代的意義
この句は、「間違った行いをしてしまうくらいなら、何も行動しない方がまし」という倫理的警告を含んでいます。
特に重要なのは、「行動の結果は、すぐにではなく“のちに”現れる」という因果の遅延性への気づきです。
現代に置き換えれば:
- 小さなズルや不正でも、それは心に影を落とし、
- 時間が経つほどに、自分を蝕む後悔に変わる。
つまり、「その場しのぎの成功」や「短期的利益」のために、心の純粋性と信用を失うなという警句です。
💼 ビジネスへの応用と視点
観点 | 説明・適用例 |
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コンプライアンス意識 | グレーゾーンの行為でも、倫理観を逸脱すれば、のちに社会的信用を失う可能性がある。 |
短期利益 vs 長期信頼 | 一時的な成果より、継続的な信頼が真の成功をもたらす。 |
組織文化形成 | 悪事を「見逃す」文化は、社員の良心と健全性を蝕む土壌となる。 |
判断基準の確立 | 「損得」より「善悪」に重きを置くことで、ぶれない経営判断が可能になる。 |
✅ 心得まとめ
「動かぬ清廉は、悪しき行為に勝る」
行動には力がある。だがその力を誤って使えば、
得るのは後悔と苦しみだけである。
むしろ、何もしない慎みの中にこそ、
真の潔さと尊さが宿る。
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