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異常仕損とは?

異常仕損(いじょうしそん) とは、製造過程で発生する予定外の材料や製品のロスや不良品を指します。
通常の製造過程で想定される仕損(正常仕損)とは異なり、異常仕損は突発的な原因管理不備によって発生する予測外の損失です。


異常仕損の特徴

  1. 予測外の損失
     通常の生産活動では発生しない異常事態が原因。
  2. 原因の多様性
     機械の故障、人為的ミス、設計上の問題、自然災害などが要因。
  3. 特別損失として計上
     異常仕損に関連する費用は通常、製造原価に含めずに損益計算書の特別損失として計上されます。

異常仕損の発生原因

  1. 設備や機械の故障
     機械の故障や保守不足による製造ラインの停止や製品の不良化。
  2. 人為的ミス
     操作ミスや品質管理の不徹底。
  3. 材料の品質不良
     納入された材料が規格を満たしておらず、不良品が発生。
  4. 設計や仕様のミス
     製品の設計段階での不具合。
  5. 自然災害や突発的な事故
     地震や火災などによる製造中断や製品損失。

異常仕損の会計処理

1. 異常仕損の計上

異常仕損にかかる費用は、通常製造原価として処理せず、特別損失として計上します。

例:異常仕損による損失100,000円を認識する場合

借方:異常仕損 100,000  
貸方:仕掛品  100,000

2. 売却可能な異常仕損品の処理

異常仕損品を売却し、収入が得られた場合。

例:異常仕損品を20,000円で売却した場合

借方:現金   20,000  
貸方:異常仕損 20,000

3. 異常仕損の修理費用

異常仕損を修理し、再利用可能にするための費用が発生した場合。

例:修理費用として30,000円を支払った場合

借方:修繕費 30,000  
貸方:現金  30,000

異常仕損と正常仕損の違い

項目異常仕損正常仕損
定義製造過程で予測外の損失製造過程で通常発生する予測可能な損失
原因設備故障、ミス、災害などの異常要因材料や製品特性による通常のロス
費用の扱い特別損失として処理製造原価に含める
発生頻度不定期で突発的継続的かつ一定の割合

異常仕損の影響

1. 財務への影響

  • 損益計算書への影響:特別損失として計上され、当期純利益が減少。
  • 原価計算への影響:異常仕損費用が製造原価に含まれないため、製品単価に影響を与えません。

2. 経営への影響

  • 異常仕損の多発は、生産管理や品質管理の不備を示す可能性があり、経営の改善課題となります。

異常仕損を防ぐための対策

1. 設備や機械のメンテナンス

  • 定期点検を実施し、設備の故障を未然に防ぐ。

2. 品質管理の徹底

  • 材料の受入検査を厳格に行い、不良品の使用を防止。
  • 製造工程での品質チェックを強化。

3. スタッフ教育

  • 製造スタッフへの研修を実施し、操作ミスを減らす。

4. 設計段階での検証

  • 製品設計段階で十分なテストを行い、不具合を事前に解消。

5. リスク管理

  • 自然災害や突発事故に備えたリスク管理体制を構築。

異常仕損の例

例1:機械の故障

製造ラインの主要機械が故障し、未完成品が大量に発生。

例2:材料の不良

規格外の材料を使用したことで、不良品が発生。

例3:火災による損失

工場内での火災により、製造中の製品が破損。


異常仕損の管理ポイント

  1. 原因分析の徹底
  • 異常仕損の発生原因を特定し、再発防止策を講じます。
  1. 損失の記録
  • 異常仕損に関連するコストや対応状況を詳細に記録。
  1. 関係部署との連携
  • 生産部門、品質管理部門、経理部門が連携して対応策を実施。
  1. 報告と改善
  • 異常仕損の発生状況を経営陣に報告し、全社的な改善を図ります。

まとめ

異常仕損 は、製造過程で発生する予測外の損失であり、財務面や経営面に大きな影響を与えます。
異常仕損の会計処理は特別損失として計上するため、正常仕損とは区別して管理する必要があります。

企業は、異常仕損の原因を正確に分析し、設備メンテナンスや品質管理を強化することで、発生を防ぐ努力が求められます。経理や管理部門の担当者は、異常仕損の仕訳処理や記録を適切に行い、経営改善に貢献するスキルを身につけることが重要です。

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