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貪りを寄せつけぬ、整った心の備え


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📜 引用原文(出典:『ダンマパダ』第3章 第21偈)

屋根をよく葺いてある家には雨の洩れ入ることが無いように、
心をよく修養してあるならば、貪ぼりが心に侵入することが無い。

(パーリ語原典:
Sārāṃ bhavitaṃ gehaṃ vuṭṭhī na samativijjhati,
Tath’evaṃ bhāvitaṃ cittaṃ lobho na samativijjhati.


🪶 逐語訳

  • しっかりと葺かれた家には、雨が染み込むことはない。
  • 同様に、修養された心には、貪(むさぼ)りが入り込むことはない。

📘 用語解説

用語解説
貪(lobha)仏教における三毒のひとつ。物質・名誉・人間関係などへの執着・欲望。際限ない「もっと欲しい」という心。
修養された心(bhāvitaṃ cittaṃ)瞑想・内省・戒律・正見を通して整えられた、落ち着いた自律的な心。
屋根と雨の比喩心の防御が整っていれば、煩悩(雨)は染み込まないという象徴的表現。

🧾 全体の現代語訳(まとめ)

家の屋根がきちんと葺かれていれば、外からの雨水が侵入しないように、
心が修養によって整えられていれば、「もっと」「足りない」「欲しい」という貪りの感情は、
その心の中に忍び込むことがない。
満たされた心には、欲望が付け入る隙がないのだ。


🔍 解釈と現代的意義

この偈は、**「貪り(欲望)は防ごうとして防げるものではなく、心の修養によって自然と入らなくなる」**ことを説いています。

現代社会は「足りなさ」の演出に満ちています。
もっと美しく、もっと儲けて、もっと目立って――と、絶えず新たな“欲”を刺激してくる。
そんな中で心の備えがなければ、常に「渇き」の中で生きることになり、疲弊します

しかし、内面が整えられている人は、外の誘惑に振り回されず、
「すでにあるもの」に気づき、静かに満ちていくことができるのです。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
目標と欲望の違いを理解する向上心と貪欲さは異なる。心が整っていれば、前進しつつも冷静に自他を尊重できる。
過剰な利益追求の危険成功している時ほど「もっと」を求めすぎて倫理を失うリスクがある。整った心は長期視点と節度を保つ。
マーケティングにおける節度消費者の「不足感」を煽るだけでなく、価値の本質を伝える企業姿勢が信頼と持続性につながる。
リーダーの器周囲に期待しすぎる・成果に固執しすぎる心はチームを疲弊させる。落ち着いた心のリーダーが調和をもたらす。

💡 心得まとめ(結びのことば)

「満ちている心には、貪りは入れない。」
「整えられた心が、本当の“足る”を教えてくれる。」

貪りを止めようと無理に抑えるのではなく、
「なぜ欲しているのか」を見つめ、静かに整えることで、
欲望は自然とその力を失っていきます。

外の刺激ではなく、内の心を整えること。
それが、真に満ち足りた人生を支える、最も確かな智慧なのです。


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