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慎みはすべての苦からの道標


目次

📜引用文(第七章 第十一)

一一*
身について慎しむのは善い。
ことばについて慎しむのは善い。
心について慎しむのは善い。
あらゆることについて慎しむのは善いことである。
あらゆることがらについて慎しむ修行僧は、すべての苦しみから脱れる。


🔍逐語訳

  • 身について慎しむのは善い:行動(暴力・乱れた所作など)を節度あるものにすることがよい。
  • ことばについて慎しむのは善い:発言(嘘・悪口・軽口など)に注意し、静けさと誠実を保つことがよい。
  • 心について慎しむのは善い:怒り・妬み・傲慢などの悪念に気づき、それを鎮めることがよい。
  • あらゆることについて慎しむ:行動・言葉・心の三業だけでなく、飲食・睡眠・交際・感情・思考・判断すべてにおいて節制と警戒を保つ。
  • 慎しむ修行僧はすべての苦しみから脱れる:慎みをもって生きる者は、執着や煩悩による苦悩から完全に解放される。

🧩用語解説

  • 慎しみ(サンヴァラ):パーリ語で「自制・警戒・節制」。仏道修行の核心となる徳。
  • 修行僧(比丘):出家者に限らず、自己修養を実践する人を広く意味する。現代の一般人も修行僧的精神で生きることができる。
  • すべての苦しみから脱れる(ドゥッカの超越):四諦の教えにおける「滅諦=苦しみの終滅」に至る。

🧘‍♂️全体現代語訳(まとめ)

行動において慎みをもつことは善いことである。
言葉に慎みをもつことも善い。
心に慎みをもつことも善い。
そして、あらゆる場面・状況・反応に慎重であることは、最高の善である。
このように徹底して慎みを実践する修行者は、いかなる苦しみからも自由になる


📖解釈と現代的意義

ここで説かれるのは、「慎み」という地味ながら深遠な徳の偉大さです。
慎しみとは単なる「我慢」ではなく、自分自身を客観的に観察し、感情や行動に意識的に関わる力です。

現代社会では「素早い判断・強い主張・派手な表現」がもてはやされがちですが、長く信頼される人物・組織とは、むしろ「慎み深さ=安定感と内省力」に裏打ちされた存在です。


💼ビジネスにおける応用

視点適用例
セルフマネジメント言動・行動・感情に慎みをもつことで、自律的な働き方ができる。
経営判断慎重で多角的な判断力は、組織の持続性と信頼性を高める。
チームビルディング慎みあるリーダーは、周囲に安心感と共鳴を与え、無理なく協働を生む。
顧客対応焦らず、出過ぎず、真摯に対応する姿勢が、信頼と継続取引をもたらす。

🧭心得まとめ(座右の銘風)

「慎みは、すべての苦の終わりを連れてくる」
行動にも、言葉にも、心にも、
慎みがあれば、人生の苦は静かに消えていく。
外に騒がず、内に驕らず、節度と注意を忘れぬ人が、
本当の自由にたどり着く。


この一一節をもって、三業(身・口・意)の慎しみの徳と、それがもたらす解脱・安寧の境地が、明確かつ完結に示されました。これにより、第七章の主題が完全に結実します。

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