目次
■原文
私は水における味である。
私は月と太陽における光である。
すべてのヴェーダにおける聖音(オーム)である。
空における音、人間における雄々しさである。
(第7章・第8節)
■書き下し文
我は、水における味なり。
我は、月および太陽における光なり。
一切のヴェーダにおける聖音「オーム」なり。
空における音、人間における雄々しさなり。
■現代語訳(逐語/一文ずつ)
- 私は水における味である。
→ 私は、水に備わる味という性質である。 - 私は月と太陽における光である。
→ 月と太陽を輝かせる光そのものが私である。 - すべてのヴェーダにおける聖音(オーム)である。
→ ヴェーダの冒頭に響く聖音「オーム」が私である。 - 空における音、人間における雄々しさである。
→ 空間に響く音、人間における力強さもまた私の本性である。
■用語解説
- 味(rasa):物質の本質的な特徴、特に水が持つ生命的快さの象徴。
- 光(tejas):照らし出す力、智慧や存在の明証性をも象徴する。
- オーム(Om):宇宙の根源音。ヴェーダ文献では創造と神性の象徴。
- 雄々しさ(pauruṣa):人的な勇気・意志・活力。男性性というより人間の積極的精神の象徴。
■全体の現代語訳(まとめ)
私は、水の味であり、月と太陽を照らす光である。ヴェーダに響く聖なる音「オーム」であり、空間に満ちる音、人間に宿る雄々しい力もまた私自身である。
■解釈と現代的意義
神(クリシュナ)は、「超越者」ではなく「内在者」として描かれている。自然現象や人間の資質に見られる根源的な力は、すべて神の顕れであるという思想であり、神はあらゆる経験可能な世界に偏在するという「一元的多様性」の視点が示されている。
■ビジネスにおける解釈と適用
- 本質を見抜く目を養う
→ 水の味・光・音・雄々しさ。それぞれが単なる属性ではなく、本質的な力の表れである。製品・人材・状況の「真の価値」を見抜く姿勢を持つこと。 - 多様な側面における「強み」を見よ
→ 光は照らし、音は伝える。雄々しさは進む力。物理的・心理的・精神的な多様な領域での強みを捉え、戦略に反映させる。 - 一人ひとりの中の潜在力を信じよ
→ 神聖は水にも音にも、人にも宿る。すべての人に内在する可能性を見出し、育てるリーダーシップが求められる。
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