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離れてなお、満たされる心


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📜 引用原文(『ダンマパダ』第51偈)

心のすがたを熟知し、遠ざかり離れて住むことの味わいを明らかに知り、
瞑想し、聡明であり、正しく念うている人は、世俗の汚れのない喜び・楽しみを知る。


🪶 逐語訳(意訳)

  • 心の働きや性質を深く理解し、
  • 世間の雑事から離れて静かに暮らすことの真の味わいを知り、
  • 瞑想を修め、智慧を持ち、
  • 正しく意識を集中させることのできる人は、
  • 世俗の欲望にまみれない、清らかな喜びと楽しみを知っている。

📘 用語解説

用語解説
心のすがた(citta-sabhāva)心の本性や動き、性質をよく観察して理解すること。
遠ざかり離れて住む(viveka)静寂・隠遁の生活。雑多な世間と距離を置くことで生まれる心の平安。
瞑想(jhāna)心を統一し、集中することで智慧を育てる修行。
正しく念う(sammā-sati)仏教八正道の一つ。「正念」。今この瞬間への注意と集中。
汚れのない喜び(nīvaraṇa-rahita pīti/sukha)煩悩に汚されない、内面から湧く純粋な喜びと安らぎ。

🧾 全体の現代語訳(まとめ)

心の本質をよく知り、
世俗から離れた静かな暮らしの価値を理解し、
瞑想を通して意識を整え、智慧と集中を備えた人は、
世の中の欲望や競争とは無縁の、深く清らかな喜びを味わっている。


🔍 解釈と現代的意義

この偈は、外から与えられる喜びではなく、内から湧く満足と安らぎこそが本当の幸福であるという仏教の核心的な教えを示しています。

「離れて住む」という言葉は、物理的に山中にこもることだけを意味しません。
それは、喧騒・執着・比較・欲望といった“心の世俗”から距離を置く生き方でもあります。

現代社会においては、物質的な豊かさや刺激の多さの中にあっても、
心の中に静寂と観照のスペースを持つことが、真の知者の態度だと言えるでしょう。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
情報過多からの距離SNSやメール、ニュースなどの雑音から一時的に離れ、静かに自分の考えを整理する「デジタル・サバティカル」の重要性。
静かな意思決定意思決定を他者の評価やプレッシャーに流されず、自分の内なる価値観に基づいて行うことで、納得と誠実さを伴う結果につながる。
内発的動機付けの発見外的報酬(昇進・収入)ではなく、内的価値(貢献・成長・納得感)を見つけることで、持続的なモチベーションと幸福を得る。
リーダーシップにおける瞑想の役割日々の瞑想実践が、心の静けさ・洞察力・判断力を養い、複雑な状況でもブレないリーダーシップを育てる。

💡 心得まとめ(結びのことば)

「世を離れて、心は満ちる。静けさの中にこそ、本当の喜びがある。」
「真の幸福は、外に求めるものではなく、澄みきった心に湧くものである。」

この偈は、「雑音を断ち、心の奥にある本質的な喜びを見出せ」と私たちに語ります。
忙しさのなかにあっても、1日数分でも心を見つめ、静かに座ること――それが現代人にとっての「離れて住む」修行となるのです。

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