K工場では、受注処理や生産指令の報告手続きが煩雑で、必要な情報が適切に伝わらない状況にあった。生産計画書に至っては、24部も発行される始末。この非効率をどうにかしてほしい、というのが要望だ。
「他人に頼らず、自分たちでやれ」と言い放ち、関係者全員に現在使用している帳票類を持参して会議に集まってもらった。伝票類を仕事の流れに沿って黒板にピンで並べ、一つひとつ順番に目的と問題点を挙げていった。そのうえで、対策案を議論しながら、意見を黒板に書き込んでいった。
その結果、私の意見など全く必要なかった。関係者だけの議論で、瞬く間に簡素化と円滑化の道筋が見いだされ、その場で常務が即決する運びとなった。
生産計画書は、わずか8部で済む形に落ち着いた。その間、たったの2時間足らず。こうして、数年にわたって関係者を悩ませ続けてきた問題は、あっさりと片付いてしまった。解決の方法は、あくまでも常識に基づいたものであった。
もし専門的な技法を用いて分析し、改善案の検討や作成、報告会などを行っていたとしたら、改善案をめぐる無駄な論争が起こり、たとえ案が決まったとしても「押しつけられた」という不満が残る程度に終わることは、これまでの経験で十分に理解している。時間と労力を多く費やせばよいというものではない。それどころか、そうしたやり方は知恵のない者が陥る典型的な愚策だ。
この文章では、K工場での業務改善の一例として、複雑で無駄な手続きが簡素化され、円滑化された過程が紹介されています。具体的には、生産計画書が二十四部も発行されており、情報が適切に伝達されていなかった問題に対して、関係者が集まり、その場で問題点と対策案を討議することにより、あっという間に改善策が見つかり、最終的に生産計画書の発行部数はたった八部で済むようになりました。この改善はわずか二時間で完了しました。
重要なのは、外部の専門的な技法や分析を使わず、関係者が自らの常識と知恵で問題を解決した点です。専門的な手法や詳細な報告書を作成することではなく、現場で問題を洗い出し、シンプルに解決策を見つけることが最も効率的であることが強調されています。
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