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月のように澄み、濁らぬ心で生きよ


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■引用原文(日本語訳)

曇りのない月のように、
清らかで、澄みわたり、濁りなく、
歓楽の生活を終えた人――
かれを、われは〈バラモン〉と呼ぶ。

(『ダンマパダ』第413偈|第二六章「バラモン」)


■逐語訳(参考語義)

  • Yo candimaṃ iva nibbuto:まるで月のように静かに鎮まり(=涅槃に達して)
  • Vippasanno:光明・清明・明らかな心
  • Vimalo:濁りのない、汚れなき状態
  • Vītakāmo:欲望(カーマ)を完全に超えた人
  • Tam ahaṃ brūmi brāhmaṇaṃ:そのような人を、私は〈バラモン〉と呼ぶ

■用語解説

  • 曇りのない月(nibbuto candimaṃ iva):仏陀や聖者の心の象徴。濁りや執着の一切を離れ、静かに光を放つ存在。
  • 清らか(vimalo):欲・怒り・愚かさなど煩悩の汚れがないこと。
  • 澄んでいる(vippasanno):明晰な智慧と静かな心の状態。
  • 歓楽の生活(kāma):快楽追求・欲望に基づく生活全般。これを尽くし、超えたことを意味する。

■全体の現代語訳(まとめ)

雲ひとつない夜の月のように、
心が清らかで、澄み渡り、
どんな濁りもなく、
欲望に基づいた快楽の生き方を終えた人――
その人こそ、仏陀が称える真の〈バラモン〉である。


■解釈と現代的意義

この偈は、仏教における完成された人格の姿を、
「曇りのない月」という美しい比喩で表しています。
この月は、外の光に照らされているのではなく、
自ら静かに輝く、濁りなき心の象徴です。

欲望や執着、怒りや混乱に満ちた心を超え、
何にも動じることのない澄んだ心を持つ――
それが〈バラモン〉の姿なのです。

これは、現代の私たちにとっても「感情や欲望に濁されず、静かで清らかな心を持って生きる」という、人生の成熟の目標として極めて有効です。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
感情に左右されない判断力トラブル時も冷静で、相手を思いやる判断ができる。心が澄んでいれば、曇った決断をしない。
欲望を超えた使命志向地位や報酬だけを追わず、長期的ビジョンや社会貢献に軸を置いた行動ができる。
透明な人間性と信頼内面の清らかさは、言葉や行動にも現れ、周囲からの深い信頼を得る。
「輝かせる」リーダー像他人を照らす月のように、見返りなく周囲に静かに影響を与える人は、組織を優しく強く導ける。

■心得まとめ

「濁らぬ心こそ、真の輝き」
曇りのない月のように――
執着も怒りもなく、静かに明るく、
すべてを照らす存在になれる。

歓楽を終え、求めることを終え、
ただ清らかに在ること。
それは逃避ではない。
あらゆる経験を超えたあとの、
成熟した“静けさ”である。

それが、真に澄んだ人間、
〈バラモン〉の姿なのです。


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