目次
📖 引用原文(日本語訳)
第一四章 ブッダ 一九四
もろもろのみ仏*の現われたまうのは楽しい。
正しい教えを説くのは楽しい。
つどいが和合しているのは楽しい。
和合している人々がいそしむのは楽しい。
※「み仏」=悟りを得た存在(ブッダ)、覚者。
※「和合」=僧伽(サンガ)や集団の調和と一致。争いのない状態。
※「いそしむ」=勤勉に、まじめに努力すること。
🧩 逐語訳
- 仏陀のような覚者がこの世に出現することは、喜びであり恩恵である。
- その覚者が正しい真理を言葉にして説くとき、人々の心は澄み、希望に満ちる。
- 教えを共に学ぶ仲間が、争わず、調和の中にあることは、平安な空気を生み出す。
- その調和の中で、人々が真摯に修行や仕事に励んでいる姿は、まさに理想的な幸福の風景である。
🧘 用語解説
- 仏の現れ:仏陀や真理を体現する存在が現れること。世界に道が示される瞬間。
- 教えの説法(ダルマ):無明を破り、智慧と慈悲に導く言葉。教えを語ること自体が救いとなる。
- 和合(サンガの調和):集団が共通の目的(修行・使命)をもって、心を一つにして争わずに在ること。
- いそしむ(精進):学び・修行・仕事に対し真摯に取り組む姿勢。仏教では「正精進」として重要な実践項目。
🔎 全体の現代語訳(まとめ)
悟りを得た存在が世に現れることは、まさに大きな幸福である。
その存在が真理を語るとき、人々の心は導かれ、澄んでいく。
さらに、その教えを信じる仲間同士が争うことなく調和し、
ともに努力しながら生きている姿は、精神的にも社会的にも理想的な「喜びの場」となる。
この偈は、「真理・調和・実践」の三要素が揃った共同体の美しさを讃えている。
💡 解釈と現代的意義
現代においても、この偈は組織・コミュニティ・家庭・国家など、あらゆる集団に通じる普遍の理想を示しています。
一人の覚者(リーダー・指導者)が登場し、明確な価値観(教え)を語り、
その教えを中心に仲間が分裂することなく協力し合い、誠実に物事を進めていく――
これが実現できれば、どんな場所も「幸福な場」になるのです。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 解釈・適用例 |
---|---|
✅ ビジョンの明示 | 優れたリーダーが明確な理念(教え)を示すことで、組織の方向性が定まり、社員が安心して動ける。 |
✅ 組織文化 | 争いや分裂ではなく、「共通の価値」を中心に和合する文化がある組織は、持続可能で生産的。 |
✅ チームワーク | 目的を共有し、互いに信頼しながら努力するチームには自然に「喜び」が生まれ、成果も高い。 |
✅ 学びと伝達 | 組織内で「知恵を語る場(説法)」があること自体が、学習文化と士気の向上につながる。 |
✍️ 心得まとめ
「真理に導かれ、調和し、ともに励むところに、喜びは咲く」
この偈は、「人が幸福に生きる条件」を四つの視点から簡潔に示しています:
- 賢者の出現、
- 正しい言葉の共有、
- 心の一致、
- 努力の継続。
ブッダが説いたこの理想の姿は、現代の私たちにとっても、よりよい集団・社会づくりのための設計図となるでしょう。
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