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📖 引用原文(『ダンマパダ』第33章「バラモン」第53偈)
糞掃衣をまとい、
諸の欲望を省みることなく、
樹の根にあって瞑想する人、かれをわれは〈バラモン〉と呼ぶ。
🔍 逐語訳(意訳)
- 糞掃衣(汚れた布)をまとい、
- いかなる欲望にも心を向けず、
- 樹の根本に坐して静かに瞑想する――
そのような人こそ、真の〈バラモン〉である。
🧘♂️ 用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
糞掃衣(ふんぞうえ) | 墓場やゴミ捨て場などから拾った布を縫い合わせた出家者の法衣。最も質素な衣の象徴。 |
諸の欲望 | 五欲(色・声・香・味・触)を中心とした心をかき乱す渇望。 |
省みることなく | 心を奪われない・関与しない・振り返らない。徹底的に無執着であること。 |
樹の根にあって | 出家修行者が野外で暮らす際の典型的な瞑想場所。自然との一体性と質素な生活の象徴。 |
🗣 全体の現代語訳(まとめ)
最も粗末な衣を身にまとい、
いかなる欲望にも心を乱されることなく、
大地に根ざすように、樹の根元で静かに坐り、
ただひたすらに瞑想する人――
そのような人物こそ、真の〈バラモン〉である。
🧭 解釈と現代的意義
この偈は、「物質的な豊かさ・快適さ・社会的地位」が〈尊い人〉の条件ではないことを明確に伝えています。
本当に尊いのは、最小限で生き、最大限の集中を保てる人であるということです。
欲望に心を奪われることなく、
場所にも条件にもとらわれず、
ただ精神の静けさを追い求めて生きる姿――
それは現代においてこそ、「本質を見失わない人」として大いに見直されるべき生き方です。
🏢 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 応用・実践例 |
---|---|
ミニマリズムの実践 | 過剰な物欲やノイズを排除し、本当に必要なものに集中する生活・働き方。 |
環境や条件に左右されない安定性 | 雑多な環境でもパフォーマンスを落とさず、集中力と内面の静けさを保てる力。 |
内省の力 | 賑やかな場所や社交の場ではなく、静けさの中で本当の判断力を磨くことの大切さ。 |
本質思考 | ブランドや肩書ではなく、価値を生み出す本質的な思考と行動への回帰。 |
💡 感興のことば:心得まとめ
「欲なき心は、静かに根を張る」
富でも名声でもない。
欲を離れ、
静かに瞑想し続ける心。地位や場所に依らず、
ただ大地と一体になり、
自らを清め続ける者こそ――
本当の尊さを知っている。
この偈は、現代のビジネスパーソンにも「いかにして外的条件にとらわれず、内的安定を確保するか」という大切な問いを投げかけています。
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