MENU

学びと行いの二輪を備えた人は、真に信頼される


目次

■引用原文(日本語訳)

一〇 もしも或る人が博学であって、また徳行にもよく専念しているならば、
世の人々は(学問と徳行と)両方の点でかれを称讃する。
その人の誓戒は完全に身に具わっているのである。
――『ダンマパダ』 第二二章 第十節


■逐語訳

  • 博学であって:広く深く学びを積んだ人。理論・知識・教養がある。
  • 徳行にもよく専念している:その学びに基づいた誠実な行動・倫理的生活を実践している。
  • 人々は両面で称讃する:知性と行動の両方において、その人物を尊敬し賞賛する。
  • 誓戒が完全に身についている:知識・人格・行動が一致しており、内外にわたって一貫している。

■用語解説

  • 博学(バーフシュルタ):経典・理論・実務知識・宗教的教義など、幅広い学びを有すること。
  • 徳行(グナ・チャリヤー):誠実さ、思いやり、戒律の実践など、人格的な善き振る舞い。
  • 誓戒(シーラ):自己の内面に根づいた道徳的誓い。仏教では人格形成の核心。
  • 完全に具わっている:知識が行動に反映され、人格全体として統一されている状態。

■全体の現代語訳(まとめ)

もしある人が、学問を深く理解し、しかもその知に基づいて誠実な行いを続けているならば、
人々はその人を、知性と人格の両方において高く評価するだろう。
そのような人こそが、真に「誓戒」を自らの人格として完全に体現しているのである――と仏陀は語る。


■解釈と現代的意義

この詩句は、第二二章の締めくくりとして、「学びと行いの調和」こそが人格完成の姿であることを示しています。
知識だけでは人は尊敬されず、行いだけでも誤った方向に進むことがある。
しかし、知によって方向を知り、徳によって正しく歩む人こそが、本当に人の信頼と尊敬を得る存在です。

現代社会においても「知性と人格の両立」は最も信頼される資質です。仏教はその調和を人格完成の理想とし、その実践を勧めています。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点実務への応用
リーダーシップ高度な知識と高い倫理観を併せ持つリーダーは、長期的に人々の信頼を得て組織を安定させる。
人材育成知識教育だけでなく、倫理的判断力や誠実な行動も育むことが、真に有用な人材を育てる道。
信頼構築顧客や社内関係者からの評価は、成果だけでなく「言行一致」「信念と実践の一致」で決まる。
組織文化知識と行動の両立を是とする文化は、持続可能な成長と誠実なブランドを育てる。

■心得まとめ

「知に磨かれ、徳に支えられた者は、静かにして偉大である」

本当の力とは、知識の量でも、肩書きの高さでもない。
学び続ける意志と、誠実に生きる行動とが一致したとき、人は自然と周囲から信頼される存在となる。
仏陀が示した理想像とは、まさに「知と行の融合を生きる者」である。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次