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真理に連なる系譜が、世界を育む


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■引用原文(日本語訳)

「古の七名の大仙と四名のマヌは私と同じ性質を有し、〔私の〕意から生じた。彼らから世の生類が生じた。」
(『バガヴァッド・ギーター』第10章 第6節)


■逐語訳(一文ずつ)

  • maharṣayaḥ sapta pūrve
     → 古(いにしえ)の七名の偉大なリシ(大仙)たちは
  • catvāro manavaḥ tathā
     → そしてまた四人のマヌたちも
  • mad-bhāvāḥ mānasā jātāḥ
     → 私の性質を持ち、私の意志(心)から生じた
  • yeṣāṃ loka imāḥ prajāḥ
     → 彼らから、この世のすべての生類が生まれた

■用語解説

  • 大仙(maharṣayaḥ):リシ(ṛṣi)の中でも特に偉大な聖仙たち。宇宙の真理を伝える古の賢者。伝統的に「ブリグ、マリーチ、アトリ、プラスティヤ、プラフティ、アンギラス、ヴァシシュタ」の七聖を指す。
  • マヌ(manavaḥ):人類の始祖。ヒンドゥー教における各時代(マヌヴァンタラ)を統治する神聖な人王。現在は第7マヌ(ヴァイヴァスヴァタ)とされる。
  • 私と同じ性質(mad-bhāvāḥ):神(バガヴァーン)と同様の精神的・霊的本性を有する者たち。
  • 意から生じた(mānasāḥ jātāḥ):神の意志・想念から直接生まれたこと。創造主としての力の顕現。
  • 世の生類(loka-prajāḥ):この世に生きるすべての存在。人間、動物、自然界のものを含む。

■全体の現代語訳(まとめ)

「古代の七聖仙と四人のマヌ(人類の祖)は、私の本質を有し、私の意志から生じた存在である。彼らを通して、この世のすべての生き物が生まれた。」
――神(クリシュナ)は、人類や生類の起源が単なる偶然や物質ではなく、「霊的な意志」に基づいていることを語っている。


■解釈と現代的意義

この節は、世界が「神聖な系譜=真理に連なる流れ」によって生まれ、育まれてきたという宇宙観を示しています。
混沌や偶然からではなく、智慧と意志に満ちた原理からすべてが生じたという理解は、「自分もまたその流れの中にある」という霊的自覚を育てます。
つまり、私たちの存在もまた、ただ生きるのではなく、使命を帯びた存在である――という意識を促す節なのです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
ビジョンと系譜成功する組織は偶然で成り立っているのではなく、理念や思想を受け継ぐ「流れ(文化)」がある。その源を理解することが、強固な方向性を生む。
マネジメント部下やチームメンバーを「単なる労働力」ではなく、「意志と性質を受け継ぐ者」として育てる姿勢が、持続的な組織成長を支える。
自己認識と責任自分の仕事や存在が、長い系譜と繋がっていると知ることで、「私の行動が未来を生む」という責任と誇りを持てる。
人材育成スキルだけでなく「精神性・価値観」を継承する育成が、本質的なリーダーを育てる鍵となる。

■心得まとめ

「私は系譜の中に生きている。私の行動が次の創造を生む」

組織にも人生にも「根」がある。すべての創造には由来があり、我々もまたその意志の流れの一部として生かされている。
この事実を深く認識するとき、私たちはただ生きるのではなく、「使命と連続性を持った存在」として世界に貢献することができる。
源を知る者こそ、未来を創る力を持つ――それがこの節の核心です。


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