MENU

迷いの生に安住せず、変化の彼岸を目指せ


目次

📜引用原文(日本語訳)

第三四偈
この世は(変化して)異なったものとなる。
この世の人々は迷いの生存に執著し、
迷いの生存を楽しみ、
つねに迷いの生存を喜び、
迷いの生存からすっかり解脱することがない。
― 『ダンマパダ』 第二章 第三四偈


🔍逐語訳(文ごとの意訳)

  • この世は(変化して)異なったものとなる:世の中は常に移ろい、不変のものはない。無常こそが真理。
  • この世の人々は迷いの生存に執著し:しかし人は、この変化する世界に固執し、同じ苦しみを繰り返す。
  • 迷いの生存を楽しみ:その迷いすら快楽として受け入れている。
  • つねに迷いの生存を喜び:無常で苦に満ちた状態を、あたかも幸福であるかのように錯覚する。
  • 迷いの生存からすっかり解脱することがない:その結果、苦の輪廻から抜け出せない。

📚用語解説

用語解説
迷いの生存(サンサーラ)生死の輪廻。生まれては死に、また生まれるという苦しみの連鎖。
執著(しゅうじゃく)扱う価値のないものに執拗にしがみつく心の癖。
無常(アニッチャ)あらゆる存在・現象は移り変わり、永遠には続かないという仏教の基本原理。
解脱(ニルヴァーナ)迷いと苦しみからの完全な解放。輪廻からの脱出を意味する最終目標。

🪞全体の現代語訳(まとめ)

この世のすべては常に変わり続け、
本質的に不安定で、つかみどころのないものである。

しかし人々は、その変化する苦の中に安心を求め、
執着し、喜びすら感じてしまう。
その執着のために、真の自由=解脱を得ることができない。


🧠解釈と現代的意義

この偈は、私たちが「苦しみのもと」にしがみついているという逆説的な真理を突いています。
苦しいとわかっているのに、それを手放す勇気がない。
変化を怖れて、現状に留まることを「安全」と感じてしまう――
これは現代社会の多くの人々に当てはまる姿です。

そしてこの偈は、静かに問います。

「あなたは、その迷いの中にとどまりたいのか。
それとも、そこから本当に抜け出したいのか。」


💼ビジネスにおける解釈と適用

観点応用例
現状維持バイアスの克服変わることの恐れから非効率な体制にしがみつく組織や個人に対して、真の意味での“脱皮”が必要。
快適な苦しみに気づく不満はあるが安定している職場、意味を感じないが慣れた仕事… それが「迷いの生存」であることを見極める力。
“変化こそ常”の組織文化「変わることを前提としたマインドセット」が、持続可能な成長とイノベーションの原点となる。
惰性からの脱却苦しいと感じているのに、変えようとしない状況に対して、自ら「終わらせる」決断を下す勇気を持つ。

✅心得まとめ

「苦しみの火に手を差し出し続ける者は、火を喜んでいることに気づかねばならない」
「安心は、変わらぬことの中にはない。脱却と変化の中にある」

この世が常に変わるものだと知りながら、
なおその中に安住しようとする――
それが人間の根本的な迷いである。

執着を捨てることでしか、
本当の喜び=解脱は訪れない。


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次