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愛欲に囚われし心は、罠にかかる兎のごとし


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📜 引用原文(日本語訳)

愛欲に駆り立てられた人々は、
わなにかかった兎のように、ばたばたする。
束縛の絆にしばられ執著になずみ、
永いあいだくりかえし苦悩を受ける。
――『ダンマパダ』 第三章「愛執」より(六)


🔍 逐語訳・語句解説

  • 愛欲に駆り立てられた人々:欲望に心を支配され、自制を失って行動する人たち。
  • わなにかかった兎のように、ばたばたする:思い通りにならない現実に対して混乱し、苦しみながらもがく姿の比喩。焦燥、不安、動揺。
  • 束縛の絆:執着・欲望・執念によって自らを縛る見えない鎖。
  • 執著になずむ:欲望に染まり、その状態に慣れ親しみ、抜け出す気力を失う。
  • 永いあいだくりかえし苦悩を受ける:輪廻のなかで、同じ苦しみを無限に繰り返す存在。

💬 全体現代語訳(まとめ)

愛欲に突き動かされる人は、まるで罠にかかった兎のように、混乱し苦しみ、あがいても逃れられず、さらに苦しみを深めていく。欲望という絆によって心は縛られ、執着が習慣化していく。そしてその結果、解放されることなく、長きにわたって同じ苦悩を繰り返すことになる。


🧭 解釈と現代的意義

この節は、**「執着の罠は、自分で仕掛け、自分で苦しむものだ」**という深い洞察を教えてくれます。人は何かを強く欲するあまり、それが思い通りにならないときに強い動揺を覚え、時に自滅的な行動に出ることもあります。そしてこの苦悩のパターンを無意識に繰り返してしまうのです。

現代においては、この罠は物質的欲求(地位・金銭・承認)だけでなく、SNSや情報依存、人間関係の執着など、無数の形で現れています。そして、そこから抜け出すにはまず**「もがくほどに深まる罠がある」**ということを、冷静に見抜く智慧が必要です。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
成果への過度な執着思い通りにならない結果に対して過剰に動揺し、判断を誤ることがある。冷静さが失われた時点で「罠にかかった兎」となる。
中毒的な働き方成果・称賛・成長などへの依存が強すぎると、それを失ったときの喪失感が大きく、精神的に崩れるリスクがある。
繰り返す失敗のパターン毎回同じトラブルや人間関係の不和を経験している場合、それは執着のループに囚われている証拠。抜け出すには「観る」ことが必要。
持続可能性の視点一時的な欲や感情に流される経営判断は、長期的には苦悩を繰り返す原因となる。短期利益よりも持続的ビジョンを。

🪷 心得まとめ:感興のことば

「もがくほどに、執着は深くなる。
まずは、立ち止まり、観よ――心の罠を」

この節が示すのは、**「愛欲によって動くとき、人は自由を失う」**という厳然たる真理です。
人間は苦しみを嫌いながらも、しばしばその原因である執着にすがろうとします。
それが習慣となると、「苦しみの繰り返し」――まさに輪廻となってしまうのです。

まずは一歩退き、自らの欲望や行動を観察すること。それが、束縛の罠から抜け出す第一歩となります。

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