目次
📜 引用原文(『ダンマパダ』第49偈)
心が岩山のように確立していて動揺しないで、
心が染まり執著するはずのものから離れ、怒りをさそうものについても怒らず、
このように心を修練した人に、どこから苦しみが来るだろうか?
🪶 逐語訳(意訳)
- 心が堅固にして揺るがず、
- 執着すべき対象にとらわれず、
- 怒りを引き起こす出来事にも動じず、
- よく訓練されたその心には、
- 一体どこから「苦しみ」が忍び寄る余地があるというのか?
📘 用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
岩山のような心(pabbata-sadisaṃ cittaṃ) | 堅固で揺るがない心の比喩。動揺や動転に晒されない安定した精神状態。 |
染まり執着するもの(rāga) | 色・音・香など感官を通して心を惹きつける対象。執着の対象。 |
怒りを誘うもの(dosa) | 他人の言動や状況に対する嫌悪や怒りを引き起こす原因。 |
心の修練(bhāvanā) | 瞑想や修行によって心を鍛える実践。仏教における主要な修習法。 |
🧾 全体の現代語訳(まとめ)
心が岩山のように確固とし、欲望や怒りといった心を染めるものに執着せず、
どんな挑発にも動じないほどによく訓練されているならば、
そのような人に苦しみが入り込む余地はどこにもない。
🔍 解釈と現代的意義
この偈は、「苦しみは外にあるのではなく、心の動揺と執着から生まれる」ことを明言しています。
つまり、外界の出来事に反応して生じる「怒り」「欲」「嫉妬」などの心の動揺こそが、苦しみの根本原因なのです。
しかし心が揺るがなければ、どんな困難や挑発に出会っても、苦しみは生じません。
これは現代においても、ストレス耐性・精神的レジリエンスに通じる深い智慧です。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
クレーム対応やトラブル時の冷静さ | 感情的反応をせず、状況を冷静に見極めることで、問題に的確に対処できる。 |
感情に流されない判断力 | 怒りや欲望に動かされずに判断するマインドセットは、経営やマネジメントにおいて信頼を生む。 |
精神的タフネスの鍛錬 | 常に外的刺激に振り回されず、軸を持って行動することが、長期的成果につながる。 |
エモーショナル・インテリジェンス(EQ) | 他人の言動に反応するのではなく、内面の静けさを保つことで周囲の感情にも配慮できるようになる。 |
💡 心得まとめ(結びのことば)
「揺るがぬ心に、苦しみの種は根づかない。」
「怒りにも欲にも染まらぬ心は、静かな岩のように世界を見つめる。」
この偈は、現代人にとっての心の防御壁=心の鍛錬の重要性を示しています。
感情に左右されない強靭な心が、人生のあらゆる苦しみから私たちを自由にしてくれるのです。
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