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欲に焼かれる心を制せよ


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📜 引用原文(『ダンマパダ』第57偈)

心を制することは楽しい。心をまもれ。怠るな。
生けるものどもは心に欺かれている。或る人々は餓鬼のあいだにあって焼かれる。


🪶 逐語訳(意訳)

  • 心を調え、制御することは、深い喜びをもたらす。
  • ゆえに、心をよく守り、怠ってはならない。
  • 多くの生きとし生けるものは、自らの心に欺かれて道を誤っている。
  • 中には、その欺かれたままに欲に溺れ、餓鬼のような存在として苦しみに焼かれる者もいる。

📘 用語解説

用語解説
心を制する(citta-danto)自制された、平静で調御された心の状態。
餓鬼(preta)常に飢えと渇きに苛まれる世界に堕ちた存在。仏教での六道のひとつで、「果てなき欲望に支配された状態」を象徴する。
欺かれる心の真実を知らずに、欲・怒り・愚痴に動かされてしまうこと。
怠るな(mā pamādo)精進を忘れた者は心を守れず、堕落に至る。継続的な自己管理が必要であることへの警告。

🧾 全体の現代語訳(まとめ)

心を調えたとき、人は平穏で深い幸福を味わうことができる。
そのためには、心を怠らずに守り続けなければならない。
多くの人々は、自らの欲や衝動に振り回され、真理を見失う。
その結果として、一部の人々は終わりなき飢えの中――餓鬼道のような状態で焼かれる苦しみを味わうのだ。


🔍 解釈と現代的意義

この偈は、「果てしない欲望=餓鬼の心」が人を滅ぼすという深い洞察を示しています。

  • 欲しがっても手に入らず、満たされてもまた新たな欲が起こる。
  • 常に「もっと、もっと」と求め続けるが、その飢えは決して癒されない。
  • それがまさに“餓鬼の生”であり、現代人が陥りやすい精神的飢餓状態です。

制御されない心は、肉体を焼くことはなくとも、内面を焼き尽くす
それを避ける唯一の道が、「心を守り、制すること」なのです。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
過剰な欲望のマネジメント数字・成果・地位ばかりを求めすぎれば、周囲との関係が壊れ、信頼も失われる。
欲と競争の罠競争心に火をつけられ、「勝つこと」ばかりに執着すると、冷静な判断を失う。
慢性的な不満の克服昇進しても、成功しても「まだ足りない」と思う状態は、餓鬼と同じ心の構造。
本質的な満足の育成外的な成果ではなく、「自分の心のありよう」に価値を置く者こそ、真の幸福に至る。

💡 心得まとめ(結びのことば)

「欲を満たすより、欲を制するほうが幸福である」
「心の欲火を制する者こそ、餓鬼の苦から逃れられる」

欲望そのものを否定するのではなく、欲に支配されない心を育むことがこの偈の本質です。
現代のビジネス社会においても、際限のない追求のなかで心を焼き尽くされぬよう、
「何のために働くのか」という原点に立ち返ることが、真の満足と成長への道なのです。

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